電通に染みつく、テレビ広告「買い切り」の遺伝子

2016/11/8

ユーチューブの一等地確保

「これこそがネット時代のゴールデンタイムだ」
2015年末、電通のデジタルビジネス局(DB局)は、一種の興奮に酔いしれていた。テレビ広告で圧倒的な存在感を誇ってきた「電通らしい広告」枠を、デジタルでも押さえることができたからだった。
「Google Preferred」
動画配信でダントツの地位を誇るユーチューブの中でも、人気コンテンツの視聴者をターゲットに配信できる広告枠だ。
デジタル広告は、個人でも零細企業でも、予算に応じて入札さえすれば広告を出稿できる。しかし、この広告枠では、ユーチューブの中の一等地を、電通が持つ優良なクライアントにだけ独占販売することができるのだ。
まさに、視聴者数が一番多く、広告主もこぞって出稿したがるテレビのゴールデン帯(午後7時〜10時)のような広告枠なのだ。
しかも、電通はこの枠を「買い切り」で押さえたという。買い切りとは、その枠を電通だけが販売できるということだ。
「電通社内では、その1年前から局を横断したグーグルチームを創設して、グーグルの『買い切り枠』を押さえることに注力していました。だから、グーグルのサービスの一つであるユーチューブの件は、社内ではデジタル広告の成功事例とされています」(電通関係者)
だが、そもそもなぜ電通は「買い切り」をしたがるのだろうか。