【直撃取材】AIで映画を作った男たち(前編)

2016/11/1

9分間の衝撃

彼は星々の間に立ち、そして、床に座っていた。(He is standing in the stars and sitting on the floor)
それは永遠に許されざることなのかもしれない。だが、それはお気の毒なことだ。(It may never be forgiven, but that is just too bad)
新たな文学的な境地なのか、それとも奇をてらったナンセンスな表現なのか、何とも言えない想像だけを掻き立てる描写が次から次へと紡ぎ出される。
これは、今年6月に公開された短編SF映画「Sunspring」の脚本からの抜粋だ。
テレビドラマ「シリコンバレー」で人気の俳優、トーマス・ミドルディッチが主役を務めるこの映画は、ロンドンで毎年開催されるSF映画祭のために制作された作品だ。
だが、話題を呼んだのは、そのキャストではなく、映画の脚本がAI(人工知能)によって書かれたということだった。
しかも、この映画は、映画祭で数百の応募作品の中から、トップ10に選出された。冒頭の例のように、文法的には正しいが、人間が書いた脚本ではとても生み出せないような文脈を欠いた場面の連続が、審査員たちに強烈な印象を残したのだという。
米メディアの映画評論家も「美しく奇妙で、なぜか感動する」と評するなど、その作品性に対してポジティブな評価が相次いでいる。