[東京 11日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反発。終値では9月7日以来、約1カ月ぶりに節目の1万7000円台を回復した。原油高を背景に前日の米国株が上昇したことを好感し、朝方から買いが先行。

為替が1ドル104円前後へとドル高/円安に振れると、日経平均は一時200円超の上昇となったが、上値では戻り待ちの売りや利益確定売りなどが出て、やや伸び悩んだ。

7日に発表された9月米雇用統計は市場予想を下回る内容だったが、米経済が緩やかに拡大しているとの見方は変わらず、リスク回避の動きは限定された。ロシアが石油輸出国機構(OPEC)の減産に協力する意向を示したほか、米大統領選の第2回候補者討論会後に、民主党のクリントン氏が優勢との見方が広がったことも市場心理の安定化につながった。

1億株の自己株消却を発表したソフトバンク<9984.T>をはじめ、ファナック<6954.T>やファーストリテ<9983.T>など日経平均寄与度の大きい銘柄が買われ、指数上昇に寄与。一方でトヨタ<7203.T>が後場伸び悩んだほか、三菱UFJ<8306.T>が小幅安に転じるなどコア銘柄への売りが目立ち、指数の上値を押さえた。「銀行株には海外短期筋によるショートがみられる」(外資系証券トレーダー)という。

GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)で米株価指数先物が弱含みで推移し、今晩の米国株の下げが警戒されたことも日本株の重しとして作用した。

市場では「前週後半から電気機器や機械、素材系などの景気敏感株が買われ、今年4月の高値を更新している。日経平均などはまだ上抜いていないが、景気敏感株に利食い売りなどが強まるようだと指数も伸び悩みやすい。一方で為替市場をみると円安方向に行く雰囲気があり、一段と円安に振れれば日経平均1万7500円程度への上昇はあり得る」(みずほ証券・投資情報部長の倉持靖彦氏)との声が出ていた。

個別銘柄では、 東洋炭素<5310.T>が一時ストップ高。同社がセ氏1000度の高温でも耐久性が落ちにくい炭素材料を開発したとの一部報道が材料視された。高い耐熱性が必要な航空機のエンジン周辺部材向けに売り込むと伝わり、将来的な業績寄与などが期待された。

半面、タカタ<7312.T>が急反落。米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が7日、エアバッグ問題をめぐる巨額のリコール(回収・無償修理)の対応に向け、米連邦破産法の適用申請を選択肢の一つとして検討していると報じ、売り手掛かりとなった。同社は11日、報道について決定した事実も開示すべき事実もないとのコメントを発表している。

東証1部騰落数は、値上がり1132銘柄に対し、値下がりが699銘柄、変わらずが153銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値      17024.76 +164.67

寄り付き    16936.31

安値/高値   16931.12─17074.46

TOPIX<.TOPX>

終値       1356.35 +5.74

寄り付き     1353.9

安値/高値    1353.29─1362.33

東証出来高(万株) 166516

東証売買代金(億円) 18711.05

(杉山容俊)