【深層】孫正義が逃したウーバー出資、「クルマの進化」をどう掴むのか

2016/10/14
よほど悔しかったのだろうか。孫正義の口からこんな言葉が漏れた。
「私、失敗したんですよ。面白いなあ、投資しようかとずいぶん思ったのですが。決断がつきませんでした。後悔している会社のひとつです」
2016年6月に開かれたソフトバンクグループの株主総会。壇上で投資先企業について説明している時に、孫は、クルマの配車サービスを運営する米ウーバー・テクノロジーズ(ウーバー)についてこう話した。
投資のチャンスがあったのは、2014年のことだったという。
ウーバーは、スマートフォンのアプリによる位置情報を使って、街中で走っているクルマを配車してくれるサービスだ。一般人もドライバーとしてお金を稼げるため、タクシー業界をはじめ大きな批判を巻き起こしながらも、米国を筆頭に新しい交通インフラとなっている。
ただクルマを呼ぶだけではなく、同じ方角へ向かう人と相乗りをすることで、安い料金で移動することもできる。また近年は飲食店の料理などをデリバリーするための物流インフラにもなっており、今や都市交通をスマート化する、一大勢力だ。
現在の時価総額は、650億ドル(約7兆円)と言われており、孫が投資を決めていれば、すでに数倍に膨れ上がっていた計算になる。
「やっぱり、(自分は)アタマが悪いんだな」