【高論卓説】倒産予備軍は17万件にも上る! 経営不振の中小企業は塩漬け状態 再生進まぬ理由は?
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ポートフォリオとしての貸付金のリターンがどうあれ、個別貸金の焦げ付きの有無で業績を評価される銀行員は、追い貸ししてでも既存の貸付金の不良化を防ぎたい。危ないな、と思う貸金でもマル保(信用保証協会の保証付き)なら安心して貸し増せます。貸し渋って問題をわざわざ表面化する理由はありません。
いざとなったら損が膨らむ自前の追い貸しは流石に躊躇するところでしょうが、中小企業金融円滑化法なんてものを作って危ない企業に追い貸しやら条件変更やらするよう監督官庁が迫ってくれるなら、渡りに船でそれに乗る。法律が期限を迎えても、急に態度を変えるなとの指導もあったようですし。
雇用調整助成金などもそうですが、収益力を失った企業を支援して雇用を守る政策はそろそろ見直し時に来ているように思います。長期雇用の強制と引き換えに企業を支援して雇用を支える従来の方向性を見直し、雇用調整を認める代わりに企業は自由競争、雇用の保障は働く人を直接支援することで行う、という方向に転換しない限り、企業の新陳代謝も地方の再生も進みません。
風が吹けば桶屋が儲かる式の迂遠な話のようですが、企業を規制し保護して雇用を守る様々な規制や保護が、結局は企業の新陳代謝を妨げて日本の潜在成長力を押し下げているのでは。倒産予備軍17万件!というとギョッとしますよね。
数字の出典は明らかになってはいませんが、実はこれは今そこにある危機なのです。
この背景にあるのは、リーマンショック時に制定され、2013年3月末に廃止された中小企業金融円滑化法、いわゆるモラトリアム法の後始末です。
この法律は、リスケなどをした中小企業の融資も正常債権またはそれに準ずる債権として扱うというもの。
その結果銀行は本来返済が不能になった中小企業への潜在的な不良債権を抱えることになってしまいました。
その額は一説には30兆円あまりともといわれています。
アベノミクスで、これらの企業の業績が回復すればよかったのですが、アベノミクスの行き詰まりが見える中で、これらの企業の再生のめどが立たなくなってしまいました。
現在はまだ銀行はこれらの企業向け債権の取り立てや償却を行っていません。
しかしこれは問題の先送りに過ぎず、体力のある金融機関から、不良債権の償却に入ることは間違いありません。
一連の銀行合併は、そのための体力づくりという側面があるのです。
中小企業にとっては大変な時代がもうそこまで近づいています。塩漬けとなった中小企業の再生をするより、国際競争力を生み出すスタートアップを創り出したほうが経済効果がありそうです。
スイスは競争力がないと判断された中小企業は廃業を促す仕組みがあるようです。
日本も、国際競争力の向上を狙うのであれば競争力のない中小企業は潰すという選択肢があってもいいと思います。