「人材のるつぼ」が起こす「決済」イノベーション

2016/9/30
2005年4月の上場以来、増収増益を続けているGMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO-PG)。ネットショップやNHK、東京都など、7万を超えるお客様へ、総合決済代行サービスを提供している同社には、各分野からユニークな人材が次々と集結している。今回はそんな中から3人にインタビュー。新たな事業領域の拡大やアジアを中心とした海外展開を積極的に進める今、GMO-PGが目指す未来とは――。

決済の未来を切り開く

インターネットで買い物をする際、最も使われているのがクレジットカード。ところが、クレジットカードを持っていない方や、カードを利用するのに抵抗があるお客様が一定数いらっしゃいます。また、「代引きでは、不在時に受け取れない」「自分のタイミングで支払いたい」というニーズも強い。
そんな声におこたえしようと、GMO-PGが新規事業として子会社を設立し始めたのが「GMO後払い」です。
購入者様は、商品を受け取った後に、コンビニや銀行・郵便局から支払いできるようになります。当社は、EC事業者様より債権の譲渡を受けることで立て替え払いをし、EC事業者様の未回収リスクの解消、キャッシュフローの改善に貢献。そして、与信管理、請求書発行、入金管理などの業務もEC事業者様から請け負います。
この決済手段は、当社が債権の譲渡を受けEC事業者様にお金を立て替えるため、購入者様の与信管理が肝になってきます。より多くの方にご利用いただきたい一方、お支払いいただけない購入者様にはお断りをしなければなりません。そこで、取引状況、購入者様の属性や買い物の仕方などを分析し、最適なチューニングをしていくのが私の役割の一つです。
増田克伊(そうた かつよし)

GMOペイメントサービス 執行役員 後払い事業部長
日本オラクル、サイバーエージェントグループを経て2015年に当社入社
私自身は、日本オラクルでシステム開発、サポート、営業と10年ほど幅広く携わったのち、CAモバイルでEコマース事業を手がけ、その後日本オラクルに戻り、コンサルタントを経験しています。サービス運営全般を担当している私にとって、これらすべての経験が「GMO後払い」を成長させることに役立っています。「GMO後払い」がビジネスとして軌道に乗り、後払いが定着してきた今、成果を実感します。
EC事業者様は、当社のサービスを利用することで、更に売り上げが伸びる。購入者様は自分好みの決済手段が選べ、ひいては、社会の便利となる。双方にメリットを提供でき、市場の活性化につながります。自ら手掛けた「GMO後払い」が、ECの未来を着実に進化させている手応えを感じています。

日本企業の世界展開をサポート

GMO-PGでの私の業務は、優良なプロダクトを持った日本のEC事業者様の海外展開を成功に導くことです。国内で決済システムを使っているお客様からの相談も多く、業種は、美容・健康系からアパレル、デジタルコンテンツまで多岐にわたります。
我々のビジネスは、決済システムの導入がゴールではありません。海外での販売方法や関税についてなど、決済システムに直接関係しない質問や相談事も多く寄せられ、よろず相談窓口として動くことも。お客様の売り上げが増え、決済システムを活用されることで、当社の売り上げも比例して増えていきます。だからこそ、お客様の事業成長のために経営判断のスピードを落とさないよう、海外展開を多方面からサポートしているのです。
例えば、ある美容系の企業が、台湾でなかなか売り上げが上がらないという悩みをお持ちでした。購入者様の動きを分析すると、台湾はまとめ買い文化が根強く、定期購入のメリットが理解されにくいところがありました。まずは、定期購入による利便性をきちんと伝える手段を考えようとアドバイスをし、決済システムの導入を提案しました。
井本康夫(いもと やすお)
GMOペイメントゲートウェイ 企業価値創造戦略 統括本部 グローバル・ビジネス統括部長
ソフトバンクグループ、グリーを経て2013年に当社入社
GMO-PGへの入社前は、ソフトバンクグループでは、国内でソフトウェア流通や携帯事業などの営業企画・マーケティングを担当、アメリカ発SNSサイトの日本版を立ち上げる新規事業にも参画。2社目のグリーでは、急成長中のゲーム事業を世界に展開していくというタイミングで入社し、アメリカ、アジア地域、欧州で通信キャリアを回り、泥臭く、ゲームソフトのインストールを少しずつ浸透させていきました。
外から日本を見たことで、改めて、日本発のコンテンツ、ビジネスモデルをもっと世界に発信していくべきだと確信。世界につなげる懸け橋になりたいと考えるようになりました。日本ならではのすばらしいビジネス文化を持ち、海外展開に将来性のある会社はどこかと考えたとき、決済を軸に展開するGMO-PGだと思ったのです。
決済を通じて、「自分が日本を牽引していく」という熱意。成長期真っただ中のアジアの中心に、日本発システムのインパクトを残していきたい。そんな思いをメンバー全員で実現していけることにやりがいを感じます。

ITと金融双方に精通している強み

25年間勤めた三菱東京UFJ銀行から、ほぼ直感的に転職しました。GMO-PGの社長含め経営陣の成長意欲や「これから事業を伸ばしていくんだ」という明確な意思に惹かれたのです。
2013年の入社当時は、20~25%の利益成長を続け従業員も着実に増えている、企業のまさに転換期。小さな会社から大組織へと転換する際、どんな課題にぶつかり、どう乗り越えるべきか、銀行員として数多くの事例を見てきた経験が役立つのではないかと思いました。
吉岡優(よしおか まさる)
GMOペイメントゲートウェイ 上席執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部統括部長
三菱東京UFJ銀行より2013年、当社入社
現在は、決済に関わる製品・サービス全体の責任者として25%成長を続ける仕組み作りを担っています。システム改善策の検証や、顧客層の拡大に向けた市場リサーチ、サービス拡充のための新たな切り口提案、新規事業の立案まで管轄領域は幅広いですね。
Fintech、いわゆる「ITを駆使した金融サービス活用の動き」は、2014年秋ごろから盛り上がっていると認識しています。Fintechの難しさは、IT業界と金融機関が、双方の業界知識やルールに精通していないという点です。
つまり、銀行やカード会社、証券会社などの金融業界は、会社としてどんなIT技術を活用すべきか知識が追い付かず、IT技術を提供するインターネットサービス業界は、金融ビジネスにおける細々としたルールや規定の理解が追い付きません。
それに対してGMO-PGは、1995年の創業以来、決済システムを扱っているため、金融事業を進める上でのあらゆるルールを把握し、システム開発においても専門部隊として機能しています。Fintechを進める上で有益なサポートができるという大きな強みがあるのです。
前職で合併を繰り返した経験から、社内の価値観が同じである大切さを痛感しました。向かうべき方向が定まっていて、得意分野がさまざまな人材が集まれば、組織としてより強くなります。日本から世界へ、より利便性の高いEC環境を創造していくというGMO-PGの思いに共鳴し、「この領域においては、人に負けないスキルがある」というメンバーとともに成長していきたいです。

25%成長に求められる人材とは

村松竜(むらまつ りゅう)
GMOペイメントゲートウェイ 取締役副社長
企業価値創造戦略 統括本部 本部長 兼 同社アジア地域統括シンガポール法人Managing Director
3人からも分かるように、IT、メガバンクと幅広い業界から人材が集まっています。
創業時のクレジットカードの決済代行サービスから始まり、ネット広告サービスや海外事業展開、後払い決済、レンディングサービスまで、“決済”を切り口に多様なサービス提供を手がけている当社。事業領域を拡大し、海外進出を図ることで、永続的な25%成長を掲げています。
これは、各業界から一流かつユニークな人材が続々と集まっているからこそ、実現できてきたことで、これからも続けられること。25%成長が最低ラインという職場環境には、仕事の広がり、成長スピードの速さなど、他にはない経験が待っているはずです。
まだまだ、日本は大企業に優秀な人材が集中しています。もっとベンチャー企業に目を向けることが、日本全体の成長のために必要でしょう。
私自身は海外事業を推進するために、4年前にシンガポールに拠点を移しました。現地にいるからこそ分かるリアルな情報を伝えられなければ、海外進出を狙う日本のお客様に、満足なサービスを提供できないと考えたからです。
日本を離れて感じたのは、東南アジアの急激な成長と、中国、韓国企業の進出の勢い。「アジアの世紀」が到来しているという実感とともに、日本の存在感が明らかに消失しつつある現状です。
「日本のFintechを世界に押し出していきたい」という思いは、毎年強くなっていきます。現地の決済関連の企業とタッグを組み、彼らと融和しながら、日本のビジネスマインド、アセットを世界に打ち出していきたい。例えば、まだまだ日本でしか浸透していない後払い決済も、アジアを中心に広げることで、ECサイトの購買層は格段に広がるでしょう。
そのために、決済先進国の欧米企業への投資も積極的に行い、金融の最新情報をアメリカから入手し、アジアでの展開を考えるというサイクルを高速で回しています。
ここにはやれること、やるべきことはあふれています。自らやりたいことを考え、提案し、巻き込んで実現に向けて行動していく人材を、門戸を開けてお待ちしています。
(編集・構成:久川桃子、田中留子 写真:岡村大輔)