呼吸パターンと心拍数を計測する

いまや機械は人の感情を読み取れるまでになった。どんなに巧みなポーカーフェイスを駆使してもだ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究者が、無線信号だけを用いて人の感情を検出する方法を見つけた。
無線周波数(RF)の電波を発し、その反射波をとらえる「EQラジオ」と呼ばれるデバイスを使って、研究者たちは被験者に電波を当て、その人たちの呼吸パターンと心拍数を計測する。
データは、物理的ファクターとさまざまな感情の表象を照合するようプログラムされたアルゴリズムで処理され、被験者の感情が「悲しみ」「怒り」「楽しさ」「喜び」の4つの状態のいずれかに分類される。
MITの研究チームは、12人の被験者をこのデバイスから3~4フィート(0.9〜1.2m)離れたところに座らせた。
そして被験者に対し、ある特定の感情を呼び起こす個人的な経験を思い出すよう指示した。これは「基礎となる真実(ground truth)」を確立するためだ。つまり、機械がそれをとらえるかどうか、研究者たちがテストできるようなひとつの感情だ。
EQラジオは、2つの方法のうちいずれか1つを使って、被験者の感情を推定する。その人自身の「基礎となる真実」をその後の推定のベースラインとして用いるか、あるいは他の11人が報告した感情から集められた複数のベースラインを用いるかだ。
続いて被験者たちは、この機械が検出できる4つの感情をもたらすような、それぞれ異なる経験を想起した。その間、デバイスはそれぞれの感情につき2分間のシークエンスで心拍数と呼吸数を計測し、12人の被験者から合計400のセグメントを収集した。

87%の確率で正しい推定を出す

EQラジオによる感情の推定は、とくにその人自身のベースラインに基いて行われたときには驚くほど正確だった。その場合のデバイスによる感情の推定は、87%の確率で正しかった。他の人々の感情に基づいた場合は、デバイスが正しく推定する確率は72%だった。
研究者たちは、その人の感情状態のより明確な指標になるのは、呼吸数よりも心拍数であることにも気づいた(呼吸の変化は抑えることができても、心拍をコントロールするのは難しいからだろう)。
CSAILの研究者たちは、この結果が心電図(ECG)ともよく一致すると述べている。ECGの場合は、体に取り付けた電極によって検出される電気信号を通じて、感情を認識する。
だが、この新しいデバイスでは、研究者は体に電極を取り付けなくても(あるいは映画『ブレードランナー』の1シーンのように尋問まがいの感情検出テストをしなくても)被験者の感情を推定することができる。
そう遠くない将来、ある人がどう感じているかを知りたい研究者は、ただその人のほうへ電波を送るだけで、どんな感情を抱いているか知ることができるようになるだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Clinton Nguyen記者、翻訳:水書健司/ガリレオ、写真:Gearstd/iStock)
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This article was produced in conjuction with IBM.