【堀江貴文】東大も大学もいらなくなる日
2016/10/30
ノーベル賞級の研究の価値
――東大の世界ランキング低下について、どう思いますか?
しょうがないでしょう。中国やシンガポールは、かけているお金の額が半端ないですから。それだけ経済的な余裕があるわけです。
それに対して、日本は相対的に貧乏になっています。ない袖は振れないということでしょう。どうしようもないですよ。
――東大の復活は諦めた方がいいということですか。
まあそうでしょうね。
ただ、日本の場合も、本当は国の予算の配分を変えればいい。公共工事などにお金をかけても、その場凌ぎにはなっても、新しい価値が創造されないですよね。一時的に経済は良くなるけれども、プラスアルファが望めないじゃないですか。
知というのは付加価値を生み出すので、1つのノーベル賞級の発明がもたらす経済効果は何千億円にもなる。ノーベル賞級の発明というのは、当然グローバルな発明ですから、大きなマーケットを作り出します。
たとえば、青色LEDによって光の三原色がLEDで可能になった。要はLEDディスプレイなどのマーケットが生まれて、信号機などが一気にLEDに替わったじゃないですか。だからノーベル賞を取れたのです。
もちろんニュートリノみたいなものは別ですが、LEDのような実用品の発明というのは経済へのインパクトが大きいのです。
以前、東京理科大学に取材に行った時は、ちょうど学長が酸化チタンの触媒の研究をずっとやっている人でしたが、酸化チタンは、抗菌作用があるのでビルの外壁やトイレの便器などに塗られているわけですよ。
そのほかにも、微生物もフリーラジカルで微生物を殺菌することができるといった発明があるわけです。まだまだマーケットが足りない発明でも、それを普及させることによって、ノーベル賞に近づく可能性があるわけです。
つまり、世の中を変えるノーベル賞級の発明というのは、それだけの付加価値を生み出す。
人間がなんで楽をして生きられるかというと、付加価値を誰かが創造しているからですよ。
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この連載について
日本のトップに君臨する東京大学。しかし、最新のアジア大学ランキングで東大の順位は7位にまで下落。欧米のトップ校に加えて、シンガポール、中国、韓国などアジアの大学との競争も加熱している。東大が、世界での存在感を高め、新時代のリーダー、イノベーターを育てるために、経営、教育、ガバナンスなどをどう変えるべきなのか。東大を通じて、日本の大学の抱える課題について考える。
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