スライドストーリーで見る、「ハゲタカファンドの歴史と今」
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昨日のインタビューにも出てきたタイヨウが、本記事では3.0に分類されています。この点、定義に少し違和感があります。
タイヨウは10年前のスティールパートナーズ時代、すなわち本記事で言う2.0時代から、既に日本で「friendly activism(自らそう呼称)」を展開していました。投資先は上場SMEが中心で、10-20社程にマイノリティ投資をしていました。
例えばみらかホールディングス社に関しては、スティールパートナーズとタイヨウが同時期に大量保有報告書を提出していました。両社が主要株主の上位に並びます。
出所: http://www.media-ir.com/press/activist/
上記リンク先で、10年前(2.0時代)の懐かしいアクティビストの名前が見られますアクティビストの活動やその背景のまとめとしては良くできた記事と思いました。ただ、アクティビスト=ハゲタカ、という定義で終始「ハゲタカ(アクティビスト)」と表現しているのは強い違和感があります。
「ハゲタカ」とはその語感として、死肉に群がる無法者というニュアンスがあります。したがって、鷲津がやっていたように死にかけの不良債権を買いたたくとか、裏から手を回して一気に株や債券を買い取って経営陣とは対立し経営権を奪取するというのがイメージに合います
今増えてきたアクティビストの手法としては、上場企業の株を公開市場で買いますし、買ってもせいぜい数%の持ち分なことが多い。そのうえで経営陣に株主の提案権をもって「提案」をしていくというのが一般的。
では、なぜ数%程度しかもたない株主の提案が通るかと言えば、良い提案をするとその他の株主になっている機関投資家や議決権行使会社から支持され一気に大きな力を持ちうるから。もちろん経営陣が彼らを納得させるような戦略を打ち出せればそちらが支持されます
アメリカの資本市場は既にこのように変わっており、そこでは日本語の「ハゲタカ」という語感は全くあわないものになっていると認識すべきです「ハゲタカ」という概念自体がこれといった明確な定義もないため、なんとなく無理やりまとめた印象を否めません。「ハゲタカ」と聞いて即座にイメージするのは、長銀を瑕疵担保条項付で買収したリップルウッドですが、ここにはバイアウトファンドは挙げられていませんし。
3.0と、歴史的な変遷が記されたことで、かえって「ハゲタカ」というレッテルがどれたけあやふやなものなのかがハッキリした感があります。
耳目を集めるためには、扇情的なラベル付けが必要なのかもしれませんが、実態は各社各様。そろそろまともな経済メディアは「ハゲタカ」という呼称を改めた方が良いのでしょうね。そういうのは夕刊フジに任せておけば良いですし。