GEはエンジニア文化を変えられるのか
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注目のコメント
本稿最後のエンジニアリングマネジャーと発電技術部門のヴァイスプレジデントの言葉が非常に示唆的だ。
「技術者として最初の試みで完成品を出せないのはつらく、居心地が悪いものだ」「だが今は、(試行錯誤を繰り返せることに)ものすごい解放感を得ている」(エンジニアリングマネジャー)
(これまでは)完璧さを求めるあまり、失敗に対する恐れを生んでいた。「その文化を克服することが最も難しかったかもしれない」(発電技術部門ヴァイスプレジデント)
日本の製造業が直面する問題は、若干乱暴な物言いかも知れないが、個人的にはここに集約されると考える。SaaSからPaaSないしIaaSとへと進化するソフトウェア企業の進化スピードはアジャイル開発に支えられている。そしてそれは開発手法という枠組みを超えて、米国西海岸の企業群にとってはいまや文化的バックボーンとも言える。
GEが2010年代初頭からそれに気付き改革を推し進めてきたという事実は極めて重要だ。恐らく、GEはこの困難な課題に立ち向かい、これまで常に自己変革を行ってきたように、インダストリーインターネットの旗手となろう。
他の方のコメントにもあるように日本企業でもIoTへと進出する企業が出てきているが、この「企業文化」というものから脱皮することが実は一番困難であることは火を見るよりも明らかだ。しかし、残された時間はあまりない。GEが現在取り組んでいることは、BtoB版Linuxのような感じ。
オープンソース化により群衆の叡智をプラットフォームに集めて、コミュニティの力でプラットフォームを世界標準のインフラにしようとしている。
日本でもファナックがAPIを公開し、工場のIoT化を推進する動きが出てきています。
ファナック、工場用IoTの日本代表に躍り出る
https://newspicks.com/news/1757312デジタル化はツールでしかなく、敵ではないはず。早く作れたり、早めにリスクを検知できることは、エンジニアとしては根本的に「嬉しいツール」だと思う。もちろん、ソフト単体と、物理的に動かすハードを制御するソフトでは、求められる安全性や完成度の違いはある。それでも、これまでも失敗から各種の製品は進化してきた。失敗への過度な恐れを防いだり、またその恐れを小さくするためにシミュレーション(「デジタルツイン」というGEの取り組みがある)を活用することは、良いことだと思う。
『「技術者として最初の試みで完成品を出せないのはつらく、居心地が悪いものだ」と、エンジニアリング・マネジャーのビル・バーンは言う。「だが今は、(試行錯誤を繰り返せることに)ものすごい解放感を得ている」昔のやり方は設計と製造の各段階やルールが論理的で、それなりの長所があったと、ラマスは言う。だが完璧さを求めるあまり、失敗に対する恐れを生んでいた。』