[東京 15日 ロイター] - 内閣府は15日、国民経済計算の基準改定に伴い、基準年となる2011年の名目国内総生産(GDP)が19.8兆円、率にして4.2%押し上げられるとの試算を公表した。研究開発費や防衛装備品の購入費が新たに算入されることで、安倍政権が掲げる「600兆円経済」の実現に向けて追い風になる可能性もある。

今年12月に発表する16年7─9月期の2次速報から適用する。最新の「11年産業関連表」を取り込んだうえで、国連が09年に採択した国際基準を反映させた。試算は11年を基準年とし、名目GDPへの影響を分析した。

押し上げ分19.8兆円のうち、主な内訳は、1)研究開発の資本化16.6兆円、2)特許サービスの扱い変更1.4兆円、3)防衛装備品の資本化0.6兆円──など。11年の名目値は471.6兆円だったが、算出方法の改定で491.4兆円に増える見込みだ。

政府は20年ごろまでに名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げている。内閣府の中長期試算によると、20年度の名目GDPは、高い成長率を維持したケースで582.7兆円。

11年と同様の押し上げ効果が見込まれれば目標は達成可能だが、実質2%・名目3%の成長確保が前提となる状況は変わらない。

*内容を追加しました。