元プロサッカー選手から起業家へ
シリコンバレーを席巻している95ドルのウール製スニーカーは、どちらかといえば、とりたてて目立たないデザインをしている。
だがそれは「オールバーズ」(allbirds)創業者のティム・ブラウンとジョーイ・ズウィリンガーにとっては、何の問題もないことだ。創業者のふたりは、このスニーカーのシンプルさこそが成功の秘訣ではないかと考えている。
ブラウンはかつて、母国ニュージーランドでプロのサッカー選手としてプレイしていた。当時のブラウンには、数々のスニーカーが無料で提供されていた。そのほとんどは、ナイキをはじめとするスポンサーが送ってきたものだ。
だがひとつだけ問題があった。
「スウッシュ(ナイキのロゴマーク)に包まれている気分だった」とブラウンは語っている。自分が歩く広告塔のように思えたという。
ニュージーランド産メリノウールをイタリアのミラノで加工してつくられるオールバーズのスニーカーは、ハイキング用靴下に木靴の靴底がくっついたような外見だ。縫い目は装飾的ではなく、見えないように隠されている。脱いだあとは、素材の自重でくったりとする。
オールバーズのスニーカーには、作り手が誰なのかを物語るものはほとんどない。例外は、2つのちょっとした細部――1つはやや大きめのアイレット(ひも穴)。もう1つは、タン(中央の泥よけ)とヒール部分に施された、鳥の形に似た一筆書きのようなマークだ。
派手なロゴがなくても、オールバーズにとっては何の問題もないようだ。少なくとも、同社は見たところ、成功しているように見える。
ベンチャーキャピタリストの「制服」
オールバーズは、最近の資金調達で725万ドルを獲得したと発表したものの、具体的な販売数は公開していない。
だが、同社のスニーカーはサンフランシスコ湾岸地域で旋風を巻き起こしつつあり、スタートアップの創業者やベンチャーキャピタリストたちが、オールバーズのスニーカーを履いた足の写真を好んでソーシャルメディアに投稿している。
少なくとも1人の業界事情通の推測によれば、パーカーとTシャツが「スタートアップのユニフォーム」としてすっかり定着しているのと同じように、オールバーズのスニーカーも、ベンチャーキャピタリストのドレスコードの一部になるかもしれないという。
「我々が生み出したシルエット、形、視覚的言語は、とても人目を引いている。そうなっているのは、ほかの皆が大声で叫んでいるときに、ささやき声で話しているからだと思う」とブラウンは言う。
ブラウンによれば、オールバーズのスニーカーは、食材を産地から食卓に直接届ける「ファーム・トゥ・テーブル」ムーブメントからもヒントを得ているという。
ほとんどのスニーカーのソールは、レザーやキャンバスなどの天然素材か、石油ベースの合成素材でつくられている。だが、オールバーズのスニーカーでは、靴底部分に持続可能なウールやヒマシ油が使われている。
そうしたプラスチックを代替する天然素材は、小規模農業で育てることができ、水もあまり使わないため、食用作物の農地を奪うこともない。
オールバーズは、履き心地が良く、環境を大切にするフットウェアを将来に伝えていくための取り組みの一環として、さらなる持続可能な織物の開発も計画している。
原文はこちら(英語)。
(原文筆者:Melia Robinson、翻訳:梅田智世/ガリレオ、写真:© 2016 Allbirds, Inc.)
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This article was produced in conjuction with IBM.