クリエイティブ人材を生かせる組織、生かせない組織

2016/9/15

論理思考と非論理思考の中間が理想

──こうした方法論を、組織の意思決定に生かすには何が必要ですか。
僕はかねてより、もっとも創造性の高い思考モードは、論理思考と非論理思考の中間である「ストラクチャード・ケイオス」にあると考えています。それを内蔵できている組織は強いです。
「ストラクチャード・ケイオス」とは、ロジカルに考える「ストラクチャード(構造的)」な状態と、直感的に考える「ケイオス(カオス)」な状態の中間の状態を指します。
たとえば最近では、マッキンゼーがデザイン・コンサルティングファームのLUNAR社を買収するなど、直感とロジックを融合させようとする機運が高まっています。しかし僕は、簡単にはいかないと思っています。
歴史をひもとくと「直感とロジックの融合」には3回の挑戦がありました。1度目は1990年代、マッキンゼーによるデザイナーの大量採用です。これは失敗して、2000年代に彼らは大量放出されました。
個人のデザイナーを組織に入れても全然使い切れず、強いていえば、会報誌の「マッキンゼークォータリー」のデザインがきれいになったぐらいの成果しか上がりませんでした(笑)
2度目は2000年代に入り、マイケル・ポーターが創設したモニターグループによる、デザイン会社の買収です。ポーターはデザイナー個人ではなく、組織としてのデザイン会社に目をつけました。