シン・ゴジラの人気官僚キャラは、現実には何をしているのか

2016/9/10
※この記事は映画「シン・ゴジラ」の内容に関する描写を含んでいます

ひときわ印象に残る尾頭ヒロミ

「これで、ゴジラが地球上で最も進化した生物であるという事実が確定しました」
映画「シン・ゴジラ」に登場する328人のキャストの中でも、ひときわ鮮烈な印象を残したのが、女優の市川実日子さん演じる環境省自然環境局野生生物課の尾頭ヒロミ課長補佐だ。
「この動き、基本は蛇行ですが、補助として歩行も混じっていますね。エラらしき形状から水棲生物と仮定してもハイギョのような足の存在が推測できます」
ゴジラの上陸後に設けられた官邸の「巨大不明生物特設対策本部」の主要メンバーとして、ゴジラの生態解明で重要な役割を果たす。しかも、無駄な感情を一切廃しながら、早口で専門知識を並べて、端的に重要な発言を繰り出す、その印象深いキャラクターに、ネット上には多くのファンが生まれた。
にしても、「現実」の環境省野生生物課とは一体何に取り組む部署なのか。ゴジラのような不明生物が登場した場合には、重要な役割を果たすのだろうか。
徹底して「現実」にこだわったそのリアリティで賞賛を受けるシン・ゴジラだけに、この野生生物課を登場させたのにも、何か意味があるのかもしれない。
だったら直接聴いてみるしかない。そう考えたNewsPicks編集部は、環境省へと足を運んでみた。

「巨大不明生物」にどう対処する

東京は霞が関。日比谷公園から道路を挟んで向かい側にあるのが、環境省の入る中央合同庁舎第5号館だ。その26階に野生生物課はあった。
「どうも、こんにちは」
恐る恐るドアを開けてみると、気さくな男性が出迎えてくれた。とはいえ、映画のような美人女性を勝手に期待していただけに、少し拍子抜けだ。
と、一瞬湧いてきた失礼な感情を取り除き、早速取材を始める。応対してくれた野生生物課の中島慶次課長補佐に単刀直入に聴いてみた。現実の尾頭ヒロミは、あなたなのですか?