【最終回:水野良樹×糸井重里】「夢」に手足を付けて届けたい
2016/8/31
第1回: 言葉は空気。何も言わない伝え方もある
第2回: 「寂しさ」をずっと考えてきた
第3回: 表現者は山の下りかたが難しい
第4回: 音楽の新しい“球場”を作りたい
第5回: 「夢」に手足を付けて届けたい
第2回: 「寂しさ」をずっと考えてきた
第3回: 表現者は山の下りかたが難しい
第4回: 音楽の新しい“球場”を作りたい
第5回: 「夢」に手足を付けて届けたい
水野:10代からライブをやっていると、必ず「お前ら、絶対武道館の夢、叶えろよ」と周りから言われます。
その言葉に、ずっと違和感を抱いていましたが、相方の山下がこう言ったんです。「点で夢を捉えると、終わってしまうからつまらない。常に最高という線上を最後まで歩んでいくのが唯一の夢だ」と。
いい言葉だと思います。
夢を考える力は必要だ
糸井:夢という言葉には、本当に悩まされますよね。「あなたの夢は何ですか」という問いがずっと追っかけてきますから。
水野:悩ましいですね。「夢について語ってくれ」というインタビューが来たりしますが、違和感だらけです。
糸井:でも、夢を考える力は必要だと思います。
僕はこの年になって、「夢に手足を」と言い出しました。桜の木も、ホームランも、見えた人のところに人は集まる。僕の仕事(「ほぼ日」の仕事)は、そんな夢に手足を付けて、人の前まで届けることだと思います。
やっと夢という言葉を自分で運転できるクルマにしたという気がしています。
水野:これもまた深い話ですね。
糸井:叶わなくても、夢は持つべきだという含みもあります。
叶わなかったら、夢を見るかいがないけど、夢に手足を付けて近づけてあげたら、けっこう楽しめますから。
さっきの山下さんの夢の話は、僕にとっても憧れです。
人生の最期は、やはり「ああ、面白かった」と言って迎えたいですね。でも、最期は病気が絡むから、言葉にはできないかもしれないと最近は思います。