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「COMPANY Forum」レビュー(2014年、キーノートセッション)

“ウォズの魔法使い”が語るイノベーションの起こし方

2016/8/26
パーソナルコンピュータで世界の常識を変えた“魔法使いウォズ”と、エンタープライズITで世界の常識を変える牧野正幸氏。2人の変革者が考えるイノベーションとは。そして、イノベーションに必要なものとは――。
*この記事は2014年10月7〜8日に開かれた「COMPANY Forum 2014」のキーノートセッションの内容をワークスアプリケーションズが取材した記事の転載です。

私のデザインを、ジョブズが“製品”にした

このセッションで牧野氏がウォズニアック氏にどうしても聞きたかったこと、それは、「何がイノベーションを生むのか。激しい国際競争の中で、大企業はどうやってイノベーションを起こしていけばよいのか」だ。

二人の議論は『イノベーションの起こし方』を中心に進んだ。ウォズニアック氏はかねてより「知識より、モチベーションがイノベーションを起こすのだ」とモチベーションの重要性を指摘する。

牧野氏がはじめに問題提起したのは、「日本でベンチャーが育ってこない」という点だ。そして、「海外で採用した新卒者に比べ日本人新卒者は、仕事に対する姿勢などで幼い印象だ」と述べたうえで、「大企業は新卒採用をやめ、ベンチャーからスカウトする方式にするくらいの大胆な試みがあってもいい」などと応じ、「人材の流動化を推し進め、イノベーションを起こし続けたい」との考えを示した。

「生まれつき誰しもが探究心を持っている。イノベーションを起こさせるなら、『こうやったら、どうなるか』を追求する気持ちを途中で断念させることなく、持ち続けさせることが大切だ。なぜなら、本当のイノベーターというのは、常に『自分ならどうやるか』を考えているからだ」(ウォズニアック氏)

商用パーソナルコンピュータで世界初の成功を収めたApple Inc.の共同設立者。コンピュータ「Apple I」(1976年)、「Apple II」(1977年)をほぼ独力で開発した

商用パーソナルコンピュータで世界初の成功を収めたApple Inc.の共同設立者。コンピュータ「Apple I」(1976年)、「Apple II」(1977年)をほぼ独力で開発した

ウォズニアック氏は続けて、スティーブ・ジョブズのエピソードも交えつつ、「イノベーションを生む集団」について語った。

「私も、iPhone 5におけるスティーブ・ジョブズも、ものを創り出す際、『自分が使うとすればこうあるべきだ』という発想のもと、細部に至るまで完璧を求めてデザインする。マーケットリサーチはその後だ。かつて、私がデザインしたものを、スティーブ・ジョブズがケースやパッケージを考え、マーケティングや広告を考え、“製品”にしていった。もちろん、買い手が何を求めているかを理解することは重要だ。その意味では、一人でイノベーションを起こしたわけではない。一人ひとりがプロ意識を持った集団であればイノベーションは成し遂げられるだろう」(ウォズニアック氏)
 ウォズニアック氏3

では、「大企業の場合はどう考えればよいのか?」と牧野氏。これに対してウォズニアック氏は「何か新しいことを始めようというときに重要なのは、最初からプロジェクトメンバーの一員にエンジニアを巻き込むことだ」と話す。

エンジニアというものは常に問題解決を望み、その力を十分に活用するワーキングモデルを確立することを企業文化として根付かせるべきだと指摘する。

最後に、牧野氏が「日本の若いエンジニアに向けて、どうすれば世界に踏み出していけるのかを語ってほしい」と求めたのに対し、ウォズニアック氏はこのようなエールを送った

「ハードウェアでもソフトウェアでも、日本には文化や生活に根差したすばらしいものがたくさんある。自分の日常生活を見回してほしい。そして、使いづらいものがあれば、『もっと改良できるところはないか』を考え、その課題解決にトライしてほしい。そうすれば、世界にはない、日本らしいものを生み出していけるはずだ」(ウォズニアック氏)

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*ウォズニアック氏が登場した「COMPANY Forum」は、今年は9月28〜29日に開催します。今回も元アップル幹部が来日講演します。9月29日のキーノートセッションに元アップルCEOのジョン・スカリー氏が登壇、無料で参加できます(事前登録制)ので、こちらからお申込みください。