あぶれた科学者が奪い合う少なすぎる教授職
The New York Times
2016/08/30
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コメント
注目のコメント
Tanaka Tomomiさんのコメント参照。
私の博士課程の同期も、国際機関や政府機関、企業、コンサルティング会社に多くが転身していった。収入も教員の2倍3倍は当たり前、自分の興味のあるトピックの最先端の情報と現実に触れて仕事をすることができるし、そのポジションで、大学の研究者と共同プロジェクトを進める人もいる。いろいろな生き方が生まれていて、そういう道を選択することも、十分以上に魅力的な状況ですね。あぶれた、という言い方は、ちょっと違うかなとも。
さらにいうと、普通の会社もそうですよね。平社員で入社したら、長年、丁稚奉公で上司のために働かなければならないという状況は、じつは多々あります。普通の会社に入社して、有名企業の次長、部長などに上がれるのは一握りです。准教授、教授というのは、私のイメージでは、次長、部長というイメージですので、そう考えると、少なすぎる管理職枠、というのは別に教職に限った話ではありません。理論物理学のようなハードサイエンスの場合、博士号を取得後2、3年任期のポスドクを数回繰り返して教授職に就くのが研究者の基本的なルート。一度目のポスドクはそれほど大変ではないが、2度目以降はポスドクの職を探すのも簡単ではない。我々の業界では40歳代どころか、50歳でポスドクも出始めている。また、一口にポスドクといっても無給からプレスティージアスなフェローシップ(例えば、僕らの分野でいえばアインシュタインフェロー)のポジションまで色々ある。記事にあるように、教授職に就くためには実力と実績があるのは大前提で、その上で忍耐力と運が必要になる。教授職に就いたあとでもテニュアや研究資金の獲得で常に競争にされされているのが普通。科学研究において競争は古今東西全世界的な傾向。なぜならば、競争がサイエンスを前に進めるからだ。特に潰しが効きづらいハードサイエンスの研究者を目指す人はそういう現状を早めに知っておくことが大事。琴坂さんや西田さん、Tanaka Tomomiさんのコメントにあるように、研究分野によっては大学教授以外の選択肢があるのは朗報だろう。
科学者が多すぎる、とも言える。教授からすれば、働いてくれる大学院生が多い方が便利だが、そのあとの仕事を保証するわけではない。自分がケンブリッジにいた時も、40過ぎで任期制のポスドクをしている人を何人も見かけた。
自分自身、30後半でようやく今の仕事に就いたが、それまでは給料の安い任期制の研究職を転々としていた。将来の保証もなく、不安な日々だった。退職後にもらう年金も、大企業に就職した同級生に比べ、だいぶ少なくなりそう。
今の若い人たちには、安易に博士課程に進むより、企業で稼ぐ力を早めに身につける事をお勧めしたい。