VRで74歳男性に「なって」みる——テクノロジーが広げる高齢者医療の世界
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>どんなに想像力を働かせても、また教科書で一生懸命勉強し、熱心に講義を受けても、患者になり代わらない限り、個人の詳細な病状、取り巻く環境などは分かり得ない。
医師となって十数年。医学生から数えれば20年近く。そしてストレートでの医療従事者人生ではありませんが、今でも自分が病気をしたときに初めて気がつく患者さんの「思い」というものが正直なところあります。
AIやロボットがこれをカバーできるのか私にはわかりません。この複雑な人間の感情は人間自身も紐解けないものだと思いますが、未来のテクノロジーはこれを解明、コピー、インストールできるのでしょうか。医療を行うときには「想像力」が不可欠です。
実際に自分はその病気や症状がないので、その症状はこうだろう、そうすると何が不自由で何を手伝ってもらうことが必要で、そしてだからこそ辛いだろう。のようにです。
なってみないと分からないのはもちろんそうです。
自分もいくつも病気を患ったことがありますが、やはり同じ病気や症状をもった患者さんには、より共感もできますし、より細かい部分のケアを想像して伝えることができるのは言うまでもありません。
VRはその想像の世界を体験できる点でとても学びは大きいでしょう。
様々な症状ごとの体験ができるようになっていくことを期待します。
けれども一方で、VRで体験できない症状や病気も確実にあります。
想像力は、結局は考える力です。
医療者の教育をしていると年々、その想像力が低下している学生の割合が多くなっていると感じます。
それは、やはり家庭での教育、学校での教育で考える機会が減っていること、
様々な人から教育を受ける頻度も減っていることも関係しているのでしょう。
VRなどの技術が進むことは期待しますが、やはり考える力を育てることが重要ではないでしょうか。