生き残る選択肢は「アップル型」「鴻海型」の2つ
コメント
注目のコメント
日経ビジネスの一連のソニーOBの連載は、あまりにも編集側や発信者側の意図が滲み出すぎていたのが白けて、途中から読むのが嫌になりました。おそらくこの対談はあの連載も多少意識されてのものだと思いますし、そのうえで非常に抑制したトーンでお話になっているようにお見受けしますが、現役の方々のためにも、あまり泥仕合にならなければいいなと、全盛期を知らない世代としては思う次第です。
いずれにせよ、日本のビジネスパーソンとソニーについて語ることは、初対面の相手と応援する野球チームや支持政党、信仰について語るのと同じくらい避けるべきだということはよくわかりました。んー、この連載は毎回読んでるけど、今回はちょっと惜しい内容だったでしょうか。
危機に瀕したソニーが、どのような道を選択すべきだったかが今回のテーマです。
Appleのようなエコシステムを持つプラットフォーム型の企業になるか、あるいはBtoBに舵を切って日立やNEC、東芝と同じ道を歩んでもよかったし、あるいはホンファイのような製造特化型のEMS企業にも、あるいはIBMのようなビジネスアウトソーシングの企業になることもできた。
しかし、あくまでBtoCの企業として生きるなら最終的にはAppleと同じ方向しかなかった、そこまではいいのです。
問題は、AppleとSONYを分けたものは何だったのか、ですよね。
多分井出さんは誰よりもその答えを知っているのだと思います。だからこそ、今回は言えなかった。
よくビジネススクールとかでは、事業部制の失敗がどうこととかよく言われますが、本当はそうでなくて、Apple型のエコシステムを作るには各部署や子会社を全て乗り越えて、一つにまとめる強烈なビジョンとリーダシップが必要なのです。
Appleにはジョブズがいたけれど、SONYにはそれができるリーダーがいなかった。それが命運を分けた。私はそう思います。
いや、あえて言うならストリンガーさんではなく、久多良木さんが社長になっていたら、また違った結果になったかもしれません。
だって、今最も成功しているSONYのエコシステムであるPSNを作ったのは久多良木さんですから。
しかし、その久多良木さんを切って、ストリンガーさんを据えてしまったのは、他ならぬ出井さん自身でした。
一番必要な場面で、本当に必要なヒトを得ることができたか、出来なかったのかが、SONYとAppleを分けたものだったのかもしれませんね。