ソニー電池事業買収、4つの勝算
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村田のソニーリチウム電池事業買収についての良記事。注目したい点が3つ。まず記事にある4つの勝算に、モジュール化が入っていないこと。これまでの村田の「滲み出し」とは違う「飛び地」の買収だと初報から下記でコメントしてきた。その観点でモジュール化しにくいとも思っていたし、そこのシナジーは織り込んでいない。
次に、4つの勝算のうち、最後の全固体以外は歯がゆさを示している印象。技術としてはできるが、生産実績やインフラ、それらに伴うボリュームといったところが実際の納入に当たっては重要。先にそれを作るというリスクを取ってからリターンを狙いに行くこともできるが、実績があるところのほうがリスクが小さいという判断で、おまけに黒字化はあまり難しいとも思っていないという点から、様々な経営管理ノウハウも伺える。
最後が、冒頭にあるスマイルカーブの話。BEMSやHEMSといったエネルギーマネジメント領域でのソリューションを今後注力したい意向がわかる。これは今まで村田が得意としている電子機器領域よりはるかに大きいものが多いと思う。そのための一貫だし、電子機器の強みは維持して、それ以外を強化することで依存度を下げるというのが基本方針というのが、改めて伺える。
https://newspicks.com/news/1690841?ref=user_100438ソニーの電池事業を買った理由が下記4つの他に、ムラタが主力事業とするMLCC等と電池には、粉体混合や積層に関する生産技術的共通点が多く、開発と生産においてシナジーが大きいというのはその通りと思います。
黒字化は難しくないのでそこを目標にしてもつまらないというのも、そのシナジーの大きさを見越してでしょうね。これはムラタが製品の開発や製造に必要な要素技術を部門間で共有し、水平展開しているからこそ言える事でもあるでしょう。電池分野で、ソニーは電池技術に関しては小耳に挟む事はあっても、生産技術に関しては噂にも聞きませんでした。濡れた雑巾を絞るように効率化出来る目処があるのではないでしょうか。
ちなみにパナソニックは、ボタン電池を長年量産していて、電池製造に関する技術は、生産技術もプロセス技術もかなりのノウハウと実績の蓄積があります。そのレガシーが強さの一つですが、それでも品質問題が起こるのがLiBの難しさ。
LiBだけでなく、全固体電池と合わせて本気で進めるつもりなんですね。中長期的にHEMSやBEMSを視野に入れると電源事業に電池が無いと競争力が低下するという視点であれば、電池関係はスマホの次の新規主力事業としての位置付けですね
ソニーの電池事業を買った理由
生産実績のあるプレーヤー
インフラを持つプレーヤー
ボリュームを持っているプレーヤー
全固体電池技術を持っているプレーヤー生産実績があり、防爆設備というインフラを擁しており、ある程度のボリュームがあり、全固体電池もある、という4つの要素が買収を決断させたとある。
面白い指摘は村田にとってはまだまだ改善の余地のあるプロセスがソニーには残っている、という点と開発費に関しては他の部品との共通化によりいくらでも改善余地そして、開発費配分を再考できる余地が残されてる、と村田は感じている、ということ。
ソニーはリチウムイオン電池をまさに開発した企業だが、生産技術という面では生産革新などを通じてもまだまだ村田から見てヌルいところがあった、そして競争力が無かった、という点からもソニーの製造現場の弱体化が窺い知れる。
またヘッドカウントや開発費の配分などソニーの社内にあるのと村田の社内にあるのとでは変わってくるのではないか?と感じる。いかんせん、ソニーの場合、人件費も高いわけで…
防爆設備の関係については下記記事も参照。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20150120/399739/
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h23/2312/231216_1houdou/03_houkoku.pdf