[東京 17日 ロイター] - 9月に行われる民進党の代表選に出馬表明している蓮舫代表代行はロイターとのインタビューに応じ、アベノミクスは行き詰っているとし、経済政策はお金の使い方を人に向けていくことで個人の将来不安の解消を図ることが重要との認識を示した。年金資金の安全運用やマイナス金利の撤回も促していく考えだ。

16日に行ったインタビューの中で蓮舫氏は、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスは「行き詰った」とし、円安誘導で輸出企業の収益を拡大させることによるトリクルダウンや、公共事業重視の財政出動が「限界にきていることがこの3年半で明らかになった」と語った。

経済政策運営は「お金の使い方を人に向けていくことが1つの解」と指摘。個人消費低迷の要因になっている将来不安を取り除く必要性を強調した。

また、少子化が進行する中、出産・育児に伴う経済不安を解消することで「子供を産んでも経済的な損失につながらないと思える国をつくることが極めて重要」と訴えた。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年度に5兆円超の運用損を発生させたことについて、株式の運用比率を50%に引き上げた「安倍内閣の失政」と批判。GPIFは株式の運用比率を「25%に戻すべき」とし、「年金を安定運用することで、少しでも不安が解消されれば消費につながる」と語った。

参院選の公約に盛り込んだマイナス金利政策の撤回についても「日銀に促していきたい」と語った。

次期衆院選における他の野党との連携では「政権選択選挙であり、連立政権が組めない政党と一緒にやるつもりはない」と明言。「共産党とは綱領がまったく違う。手を携えて一緒に衆院選を戦うことはあり得ない」と語った。

一方で「地域によって政策に対する需要は変わる。そこはいろいろな協力のかたちがある」とも述べた。

憲法改正では、国会の憲法審査会での議論に積極的に参加するとし「国民の中からここは変えてほしいとの提言があれば、立法府として当然議論すべき」と指摘。もっとも、「改正ありきではない」と述べるとともに「9条については基本的に守りましょう、というのがわれわれの考え方だ」と語った。

大規模な自然災害やテロなど、非常時における政府の権限を定める緊急事態条項の創設ついては「緊急事態条項で国民の権利を過剰に抑える必要性はない」と述べた。

*写真を差し替えます。

(伊藤純夫 リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)