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河原シンスケ氏(2)

【河原シンスケ】70歳でも恋愛。フランスの自由な恋愛スタイル

2016/8/8
第1回:パリでアートの仕事をするということ 
第2回:70歳でも恋愛。フランスの自由な恋愛スタイル
第3回:アートは「動物的勘を試す機会」になる

みんなよく恋愛してる

坂之上:お仕事のお話をして下さらないので、フランスの恋愛事情についてうかがおうかな。

ご存じかどうかわかりませんが、日本では少し前にタレントのベッキーさんが不倫をしたといって大バッシングを受けたんです。

でも、フランスでは、オランド大統領が、愛人の家にバイクで行ったとか、ああいうのはフランスでもやっぱり非難されるの?

河原:されませんね。そんなこと言ってたら、もう全員当てはまるから(笑)。

坂之上:全員じゃないでしょ〜っ(笑)。

河原:いや、本当にフランスってそうなんですよ。ぼくは日本にいたころ、トリュフォーとかゴダールとかフランス映画に出てくる恋愛に憧れたけど、実際行ってみたら本当にみんなよく恋愛してる。

坂之上:日本と比べて?

河原:そう。結婚していても、恋人がいても関係ない。だからといって、浮気された人が怒らないわけじゃないです。

坂之上:怒るのですよね?

河原:もちろん。浮気された人がね。でも「世間」は関係ないでしょう?

坂之上:その人たちの間の大問題だけど、世間が文句言うのは違う、と?

河原:違います?

坂之上:そうですね。たぶん違和感もっている人はたくさんいると思います。でもかばうと墓穴を掘りそうだから黙ってるという構図かも?(笑)

坂之上洋子(さかのうえ・ようこ) ブランド経営ストラテジスト。米国ハーリントン大学卒業後、建築コンセプトデザイナー、EコマースベンチャーのUS-Style.comマーケティング担当副社長を経て、ウェブブランディング会社Bluebeagleを設立。その後同社を売却し、中国北京でブランド戦略コンサルティングをしたのち帰国。日本グローバルヘルス協会最高戦略責任者、観光庁ビジットジャパン・クリエイティブアドバイザー、東京大学非常勤講師、NPOのブランディングなどを行った。『ニューズウィーク』誌の「世界が認めた日本人女性100人」に選出

坂之上洋子(さかのうえ・ようこ)
ブランド経営ストラテジスト。米国ハーリントン大学卒業後、建築コンセプトデザイナー、EコマースベンチャーのUS-Style.comマーケティング担当副社長を経て、ウェブブランディング会社Bluebeagleを設立。その後同社を売却し、中国北京でブランド戦略コンサルティングをしたのち帰国。日本グローバルヘルス協会最高戦略責任者、観光庁ビジットジャパン・クリエイティブアドバイザー、東京大学非常勤講師、NPOのブランディングなどを行った。『ニューズウィーク』誌の「世界が認めた日本人女性100人」に選出

恋愛はいくつになってもしていい

河原:恋愛トークで言えば、フランスでもっと驚いたのが、みんな何歳になっても恋愛を降りないこと。そこらへんの70歳の人たちが恋愛してる。それが普通なの。

坂之上:アメリカもそうでした。ドラマの中でも60歳ぐらいの人が、ふつうに恋愛してるシーンがでて驚いたことがあります。

河原:そう。日本だとすごく特別なことみたいだけど、それが当たり前だから。

坂之上:日本もそうなのかもしれないけど、文化的に60歳、70歳の大恋愛は公表するのが憚られてるだけで、実際はたくさんあるのかもですが。

河原:フランスは憚らない。恋愛はいくつになってもしていい。

坂之上:どこからくるんでしょうかね、その違い。

河原:あとね、恋愛トークでいえば、日本では恋人と週に1回とか、10日に1回しか会わないとか、別に普通でしょう。でもヨーロッパでは、そういうのは付き合ってるとは言いませんね。

坂之上:え、そうなの?

河原:大阪と東京に離れて住んでるから週に1回しか会えない、っていうならわかるけど。同じ東京に住んでいて、それはない。変な話、セックスフレンドならあるかもしれないけど。

河原シンスケ(かわはら・しんすけ) 武蔵野美術大学卒後、80年代初頭よりパリを拠点に活動を開始。フランスのフィガロ、エル、マリクレール、ヴォーグ等のイラストや、プランタンデパート、エルメス、バカラ等の広告を手掛けるほか、ルイ・ヴィトン「LE MAGAZINE」のクリエイティブ・ディレクション、La Rochelleのリゾートホテル「côtè ocean」の総合デザイン及び、250m2の天井画を完成させる。2007年には、オーナー・デザイナーとして、サロンレストラン「usagi」の総合プロデュースを手がけた。

河原シンスケ(かわはら・しんすけ)
武蔵野美術大学卒後、80年代初頭よりパリを拠点に活動を開始。フランスのフィガロ、エル、マリクレール、ヴォーグ等のイラストや、プランタンデパート、エルメス、バカラ等の広告を手掛けるほか、ルイ・ヴィトン「LE MAGAZINE」のクリエイティブ・ディレクション、La Rochelleのリゾートホテル「côtè ocean」の総合デザイン及び、250m2の天井画を完成させる。2007年には、オーナー・デザイナーとして、サロンレストラン「usagi」の総合プロデュースを手がけた。

カップルふたりで出かけるのは当然

坂之上:フランスでは、週に1回しか会わないのは、付き合ってると言わないの?

河原:言わないですよ

坂之上:それ河原さんだけの恋愛観じゃなくて?

河原:(笑)。いろんなフランス人に聞いてみてください。

坂之上:結婚が長くなっても、夫婦がずっと恋愛してる感じで変わらないっていうのも、本当にみんなそんな感じの生活なのですか?

河原:ああ、そういうふうにしないとダメだっていうひとが多いですね。

坂之上:やっぱり映画の世界なのね。

河原:どこへ行くにもカップルで出かけるのが当たり前なので。

坂之上:子どもがいても?

河原:そう。子どもがなん人もいても、カップルふたりで出かけるのは当然。恋愛してる感じが基本。

坂之上:いいですね。

みんなもっとやればいいのに

河原:だから、日本で仕事関係のパーティーに呼ばれるじゃないですか。最初は慣れなくて。だってパリならみんなカップルで来て、自分のパートナーを仕事相手に紹介するけど、日本では奥さんを連れてくる人なんかまずいないでしょ? というか、連れてきたら場違いじゃないですか。そこが全然違う。

坂之上:パーティーなのに、スーツ着た男の人しかいない、みたいになってますよね(笑)。

河原:たまに女の人がいても、みんな仕事の関係者。

坂之上:アメリカでも仕事のパーティーであっても、招待状に「パートナー同伴で来てください」って多いですよね。

河原:そうですよ。

坂之上:そういう風に行ける場があると、女性はやっぱり「きれいにして行かなくちゃ」ということになるし。

河原:日本人ではプライベートのパートナーを公の場に連れていくのは、政治家とか外交官くらいでしょう。みんなもっとやればいいのに。夫婦2人で参加するイベントが増えると日本社会もかなり変わるんじゃないかな、と思うんですよ。

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※明日に続きます。

(構成:長山清子、撮影:遠藤素子)