【東浩紀×西田亮介】「民主主義=資本主義」の未来

2016/8/7
ブレグジットやトランプ現象は日本とも無関係ではない。都市と地方、エリートと中間層が分断する中で、日本はどうすれば、民主主義と資本主義をうまく機能させることができるのか。思想家の東浩紀ゲンロン代表と、東京工業大学の西田亮介准教授が語る。(司会:佐々木紀彦NewsPicks編集長)  

都市と地方の分断

──ブレグジット、トランプ現象、パナマ文書。これらの事象が示唆することは何でしょうか。同じ流れは日本にも何らかの形で波及してくるのでしょうか。
東 結論から言うと、それは「国民国家(ネイションステイト)の問題」だと思います。
そもそも国民国家は、貴族も貧困層も全部、同じ国に住んでいたら同じ国民だという無根拠なフィクションを前提とした装置です。その仕組みはヨーロッパで誕生し、近代において世界中に広がっていった。
そうした中で、それぞれの国に、独自の新聞がつくられ、教育機関がつくられ、「ここでは金持ちも貧乏人もみんな同じ国の国民なのだよ」という思い込みを埋め込む装置が整備された。そうして一体感がつくられてきたわけです。
日本は少し特殊なケースで、近代以前の一体感がそのまま近代国家のベースになっているのですが、多くの国においては国民国家は虚構です。
ところが、今やグローバル化の進展によって、それぞれの国の中で、富裕層と貧困層のライフスタイルが全く違うものになってきています。
とくに都市と地方の差が大きい。