(Bloomberg) -- 任天堂株が急落した。世界各国で人気のスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の収益への影響は限定的だと22日夜に発表した。プレー中の事故なども起きている。

25日の取引開始直後は売り気配で値が付かない状態が続いていたが、午前9時24分頃に取引が成立。午後1時52分ごろから前週末比で値幅制限いっぱいの5000円(18%)安となる2万3220円まで売られ、ストップ安となり、そのまま同日の取引を終了した。

任天堂の22日の発表によると、ポケモンGOの収益への影響は限定的であり、任天堂が販売を予定しているポケモンGOと連携して遊ぶ機器の収益は、今期(2017年3月期)の業績予想に含まれている。現時点では業績予想の修正は行わない。

SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、22日夜という発表のタイミングが悪い意味で「サプライズ」だと電話取材で指摘した。

岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、長期的には「想定以上に収益が上がってくる可能性がある」と分析。課金だけではなく、他企業との連携による収入が期待できることから「収益が限定的と決めつけるのもリスクがある」と述べた。今後は、マリオなど世界的に知名度の高いキャラクターを使ったスマホゲームの収益も期待できるという。

4兆円

ポケモンGOは米グーグルから分社したナイアンティックが開発・配信しており、任天堂の持ち分法適用会社のポケモンは、ライセンス料と開発運営協力による収益を得る。任天堂が保有するポケモンの株式は議決権ベースで32%。

任天堂の株価はポケモンGOが人気化したことを受けて上昇し、米国での配信直前となる6日の終値は1万4380円だったが、日本で配信が開始された22日は終値で2万8220円まで買われた。2兆円程度で推移していた時価総額は、約4兆円に達していた。

ポケモンGOとの提携を22日に発表し、先週19%高となった日本マクドナルドホールディングス株は25日、一時前週末比14%安となった。国内の全2900店が、他のプレーヤーと戦ったり必要なアイテムを手に入れたりできる場所になる。

交通事故

一方、プレー中の事故や事件も相次いでいると、共同通信が25日に報じた。北海道長万部町では22日夜、ゲームをしていた大学生が、ヒグマらしき動物と遭遇した。 警視庁は23日、東京都のJR渋谷駅近くの路上でポケモンGOをしていた女性に写真を撮られたと勘違いし、女性の腕をつかんだとして暴行の疑いで千葉県の男(27)を現行犯逮捕。 大津市浜町の県道では、25日午前7時25分ごろ、ゲームをしながら運転していた同市の男性会社員(21)の乗用車が信号待ちの車に追突し、計3台が絡む玉突き事故があった。

調査会社シミラーウェブによると、日本ではグーグルの基本OSアンドロイドを使用しているユーザーの10.5%が配信された22日にポケモンGOをダウンロードし、翌日には24%まで増えた。

(ストップ安となったことや、プレー時の事件や事故を追加しました.)

--取材協力: 長谷川敏郎 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net, 東京 中村友治 ynakamura56@bloomberg.net, 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 宮沢祐介 ymiyazawa3@bloomberg.net, 浅井秀樹

©2016 Bloomberg L.P.