「ZOZOTOWN」前澤友作が語る、経営、お金、正義、家族

2016/7/23
「競争嫌い」を公言するスタートトゥデイCEOの前澤友作氏は、高校時代に「サラリーマンにはなりたくない」と思った。アルバイトをしながらバンド活動に熱中、メジャーデビューを果たす。
米国で買った好きなアーティストのレコードやCDをライブ会場で売り、カタログ通販を自宅で始めた。未開の領域だったアパレル通販に乗り出し、「ZOZOTOWN」をオープン。創業以来18年、増収増益を続ける。事業拡大の裏には理想と実務の両輪があった。

18年間増収増益

創業から今日までの18年、スタートトゥデイはずっと増収増益を続けています。2007年にスタートトゥデイが株式上場。2008年には「ZOZOTOWN」の会員は100万人を突破していました。
事業拡大に伴ってどんどん人が増え、社内に僕の知らないスタッフが増えていきます。
経営者がよく言うのは、「1・3・5の壁」です。100人、300人、500人、1000人…と人数が増えていく節目に、誰しも壁を感じるようで。実際、これは僕にもありました──。

サラリーマンにはなりたくない

僕が進学したのは早稲田実業学校です。千葉の鎌ヶ谷から新宿区の学校まで、90分ほどかけて通学していました。
満員電車の中で見かける大人たちは皆、ストレスにまみれた顔をしながら黙って満員電車に耐えていました。
これから一生懸命勉強した先に待っているのが、こういうラッシュに埋もれる生活なのかと思うと、「自分はこうなりたくない」という気持ちが強くなるばかりでした──。

“悪しき競争”防止

スタートトゥデイでは、複雑な人事考課を廃止して、全社員基本給一律制を採っています。
これは、同階級の社員が皆、同一の基本給やボーナスであれば、“悪しき競争”が防止できると考えたからです。
能力の違い、立場の違い、コンディションの違いによって生まれる優劣が、そのまま対価に反映されるような社会を、少なくとも僕は目指していません──。

どんな人でも活躍できる会社

人を選ぶような会社ではありたくない。むしろ、どんな人でも活躍できる会社でなければ、生き残っていくことはできないだろうと考えています。
自分たちの事業に都合のいいスキルを持った人ばかり集めて、特殊チームのような人材構成を心がけていれば、それなりに利益をあげることも可能でしょう。
しかし、社会や地域に根差し、社会全体に影響を与えるような会社になれるかというと、そうではありません──。

「残業」に疑問

6時間労働制を導入した際には、多くのメディアが驚きをもって報じました。
僕自身がもともと「残業」というものに大いに疑問を感じていたことに理由があります。
15時に帰れるようになれば、誰しも“第2の人生”を考えるようになる──。

「ZOZOTOWN」オープン

門前払いされながら多くの企業をまわりました。アポ無しの飛び込み営業を試みたことも多い。
最初からネット上のショッピングモールだと言うと、扉すら開けてもらえないため、「千葉でセレクトショップをやっている者です」と言って話を聞いてもらったこともあります。
むげに追い返されても、何度となく足を運び、心を開いてもらうまで粘る──。

会社のシステムを把握する

会社を作り、事業を大きくしていく過程で必要な作業は、その都度自分の手で行ってきました。
法人登記の作業や商品のデータベース作り。会社が大きく育つにつれ、非常に大切なことだったと実感しました。とくにシステムです。
システムの細かい部分まで社長が把握していなければ、いいサイトなど作れるはずがない。
そしてプログラミングにおいては、ロジカルシンキングが重要です──。
(構成:上田真緒、撮影:遠藤素子)