【DMM亀山】真相告白「アマゾンに食われなかった理由」

2016/7/16
アマゾンが日本に上陸する数年前、その存在にいち早く目をつけ、コンタクトを試みた日本人がいる。DMM.com会長の亀山敬司氏だ。DMMはアマゾンとどのように相対しながら、ビジネスを展開してきたのか。亀山氏が知られざるアマゾンとの「因縁」を語る。

「ドメインを取っておけ!」

1998年、俺は石川県でレンタルビデオ屋を経営していた。当時はインターネットが出始めたばかりで、自分も動画配信サイトを作るために、ニュースなどを読んで勉強をしていた。
その中で、アメリカには赤字なのに株価が上がっているECサイトがあると知った。
当時、日本で書籍を扱うECサイトは紀伊国屋書店ぐらいしかなかったが、このECサイトは赤字を継続しながらも売上を伸ばしている。市場もそれを評価しているため、株価も伸びている。
俺は直感的に、「これは大変な企業だ」と思った。いずれ必ず日本にやってくるだろう。そこで松栄(立也、現DMM.com社長)に「今のうちに、Amazon.co.jpのドメインを取っちゃえ!」と指示したが、案の定そのドメインはすでに取られていた。
そこで、今度はアマゾンの日本代理店をやらせてもらおう、と思ったんだ。
当時はドメインがわかれば、JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)に取得者の住所と電話番号が公開されていた。そこで松栄にその電話番号に連絡させた。
通常、外資系企業が日本市場に参入するときは、現地のパートナーを必要とする。
俺たちはまだ石川県を拠点に活動しており、東京に基盤も何もなかったし、当時は、ECの経験もほとんどない。「自分たちに窓口をやらせてほしい」とは、完全なハッタリだったんだけど、もしうまく引っかかったら、それから勉強すればいい。そんな気持ちだった。
すると、電話口には日本語がカタコトの外国人が出て、「私、日本語話せるので大丈夫。漢字も書けるよ」と言うもののあまり話が通じない。「大手商社と話が進んでいる」ということらしく、断られてしまった。それが俺とアマゾンの最初の思い出だ。