ワンクリックも不要、配達時間「ゼロ」の世界

2016/7/14

アマゾンの「自己批判」

2014年1月、アマゾンが米国特許商標庁に申請したある特許内容が、大きな波紋を呼んだ。
荷物の予測配送(anticipatory packaging system)──。そう名づけられたこの仕組みは、とても奇妙だ。あるべきはずの宛て先が決まっていないまま、特定のエリアに向けて荷物を飛行機やトラックなどで運び始める。
そして荷物がそのエリアにちょうど到着しようとするころに、アマゾンのユーザーが、その商品を買い求める。待ち時間はほとんどなく、ジャストタイムで届くというのだ。
そしてこの特許には、こんな一文が添えられている。
「仮想空間でのショッピング体験では、どうしても埋められない欠点がある。それは買った後の『待ち時間』だ。同じ商品が近くのお店にあるならば、ユーザーはオンラインでは買おうとしないだろう」
すこし回りくどい言い回しだが、要は、いまもってアマゾンは自社の配送サービスに満足していないのだ。