(Bloomberg) -- 英銀スタンダードチャータードが日本で証券業務を開始した。同部門の武上大成社長はブルームバーグの取材に応じ、当初は100人規模で業務を展開、主にアジア、中東、アフリカで組成した金融商品を金融機関など日本の機関投資家に供給していく考えを示した。

1日に営業を始めたスタンダードチャータード証券の武上社長によれば、約20人のセールスが中心となり、国内の生損保、証券会社、メガバンク、地銀、全国の農協など系統金融機関、資産運用会社、国内外のプライベートバンクなどに成長が見込めるエマージング諸国の商品を販売していく方針だという。

スタンダードチャータードの日本での業容拡大は、同社が昨年に1989年以来の通期赤字を計上し、ビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)が全事業分野の見直しや資産売却を進める中で特徴的だ。日本の投資家は国内株価の下落や債券のマイナス利回り、他の先進国市場でも広がる金利低下など、資金運用難に直面している。

武上社長はインタビューで「主戦場はアジア、アフリカ、中東で、そこに強みがある」と述べた。その上で、投資家には「グローバルで著しく金利が低下する中、品ぞろえを増やしたい」、日本株や米国ファンドなど従来型の商品から「ディバーシファイ(多様化)していきたい」などのニーズがあると語った。

1880年、横浜

同社長のスタンダードチャータードへの入行は13年。それまではクレディ・スイスで債券本部長を務めていた。

スタンダードチャータードは1880年(明治13年)横浜に駐在員事務所を設置、初めて日本ビジネスに参入した。現在は日本企業が海外に進出し業務を展開する際の融資、為替、資金管理やリスク管理などの銀行業務を展開している。富裕層向け業務も行っていたが、2012年に撤退していた。

スタンダードチャータード証券の人員100人は銀行出身者で、銀行業務と証券業務を両方行うという。武上社長によれば、同証は日本企業が海外で資金調達する際の助言なども行っていく考えだ。運用のための商品提供に加え、今後は新興国での起債など投資銀行業務を行う可能性がる。

スタンダードチャータードの株価は11日、香港市場で2%以上上昇、年初来では約10%下落している。
 
英語記事:Standard Chartered Starts Brokerage in Japan With 100 Staff (1) 

(第7段落に今後の業務について追加しました.)

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