hawksbanner.001

ホークスの経営戦略【16回】

「本気」でタカガール定着へ。女子ファン数球界最多の底力

2016/7/2

東京ドームが1日限定で、福岡ソフトバンクホークスの本拠地と化した。

6月27日、「鷹の祭典2016 in東京ドーム」が今年も開催された。“東京進出”は5年目。右肩上がりで入場者数を伸ばしており、今年は4万6776人を集客してホークス主催公式戦の最多動員記録を塗り替えた。

 1879-268_69_20160627H_M_w600px

試合は6対9で敗れた。しかし、見応えがあったのはその後だ。

試合終了後にはヤフオクドームでも行われる「光のセレモニー」が特別版で催された。幻想的でど迫力な、まさに非現実的な世界に、東京ドームが包まれた。

場内の照明を暗くした中で数万本の「ルミカライト」がつくり出した、「鷹の祭典2016」のテーマカラーであるチャンピオンブルーに染まったスタンドはまるで宇宙空間のようだった。

レーザー光線を駆使してドームの屋根に文字を浮かび上がらせたり、炎を使ったりと、例年以上にかなり手が込んでいたように感じた。

 160627_83E0233_w600px

重要なライト層の取り込み

ホークスの敗戦にガッカリしていたファンも、最後は笑顔で席を立っていた。

このような演出が行われると必ず出るのが、「試合に負けてのお祭り騒ぎなど野球を冒とくしている」という声だ。

それも一理もあると思うが、それでもプロ野球ファンにはコア層もいればライト層もかなりいる。この「鷹の祭典」のような試合であればなおさらだし、そもそも後者のようなファンを取り込んでいかなければ、野球ファンの裾野は狭まるばかりだ。

プロ野球は、プロの高度な技術を楽しんでもらう場でもある一方で、エンターテインメントという側面もある。

一部の声に惑わされず、ホークス球団には今後もチャレンジを続けていってほしいと思っている。

 160627_MG_0208_w600px

 160627_MG_0344_w600px

球場の半数が女性ファン

ところで、華やかといえば、スタンドもそうだった。

普段の東京ドームのジャイアンツ戦は、平日だと仕事帰りのサラリーマンが大半を占めると聞く。しかし、ホークス戦は女性ファン、いわゆる「タカガール」の姿が目立つのだ。

ホークスの鈴木直雅広報企画部長がこう説明する。

「ホークスの主催試合にご来場いただくファンの皆さまの統計をとったところ、男女比はほぼ50%-50%でした。クラブホークス(公式ファンクラブ)の会員でも女性が45%を占めているのです」

ホークスでは2014年シーズンから「タカガール」というキーワードを誕生させ、積極的な広報活動やイベントを行っている。当連載の第1回でも紹介した「タカガールデー」も今年3年目だ。

 hawkshyou.001

今年は史上最多の「タカガール」の来場に成功した。実に全観衆の76.6%を女性が占めたのである。

5月7日に行われたタカガールデーではヤフオクドームのスタンドがピンクに染まった

5月7日に行われたタカガールデーではヤフオクドームのスタンドがピンクに染まった

女性を最も知るのは女性

一過性のブームに終わらせない。

「タカガール」の定着へ、ホークス球団の本気度をうかがわせるのが、部署の垣根を越えてホークス女性社員で結成した「タカガールプロジェクト」の発足である。

「タカガールのコンセプトは、かわいく、楽しく、女子らしく。12球団で一番女子ファンが多いのもタカガールなんです。2006年から『女子高生デー』を実施するなどして、どの球団よりも前から女性ファンを意識した取り組みを行ってきた自負もあります」(プロジェクトチームの女性社員)

プロジェクト内に管理者がいるわけではない。仲間が集まり、仕事の合間やランチ時などにおしゃべりをする感覚で、さまざまな企画を生み出しているという。

今年から球団公式サイト内に「タカガール特設ページ」を誕生させたり、今年のタカガールデーで配布した限定ユニホームのデザインもみんなでアイデアを出し合ったり、その内容は多岐にわたる。

さらに、今春のキャンプや今季開幕戦、タカガールデー、鷹の祭典などで女性ファン向けに配布した「シュシュ」も彼女たちのアイデアだった。

「女性はSNSなどを用いた発信力にたけています。写真を撮ることを想定し、顔周りのアイテムが一番効果的だと考えたんです」(同)

「鷹の祭典」での大盤振る舞い

また、今年はタカガールプロジェクトによって、「鷹の祭典」では大盤振る舞いの企画が誕生した。その名も「ホークス激熱応援ツアー」。

抽選で選ばれた20組40名の「タカガール」(結果的に4歳~60歳代までと幅広く)を、観戦チケット+「福岡⇔東京」の交通費+宿泊費つきで、6月27日にはまず東京ドームに無料招待したのである。

「インスタグラムなどSNS経由で、もともとホークス大好きなタカガールと、あまり観戦したことのないネクストタカガールのペアを条件に、募集をしました。東京ドームだけでも1000件近い応募をいただきました」(同)

7月にはヤフオクドームへ札幌、東京、大阪から同じくタカガールを招待する。

 P1350506_w600px

 P1350517_w600px

日常会話に「野球」を加えたい

また、若い女性を中心に人気の高い女優・歌手・タレントの西内まりやを「タカガールアンバサダー」に迎えて、さらに全国的な情報発信へ力を注ぐ。

西内まりやが自ら作詞作曲したタカガール応援ソング「輝け!」も東京ドームでお披露目された。

「今年のホークスのスローガンは『熱男』ですが、私自身も熱くなっています。福岡出身で、ヤフオクドームから徒歩5分ほどの場所に住んでいたので、4、5歳のころからよく応援に行って風船を飛ばして楽しんでいました。(球団応援歌も)『げーんかーいなだのー』って声を出して歌っていました(笑)」(西内まりや)

始球式を務めた西内まりや

始球式を務めた西内まりや

本格化から3年目を迎えたタカガール戦略だが、プロジェクトチームの「タカガール社員」はなおも力を込めて、こう熱く語る。

「たとえば、女子の遊びのプランに『野球観戦』を加えたいんです。映画に行くとか、買い物に行くとか、お茶するとかと同じに、女子同士の会話の中に『じゃ、今日はホークスを応援に行こうよ』となってほしいんです」

 P1350528_w600px

(写真:©SoftBank HAWKS)