この連載について
この連載の記事一覧

もっとフィリピンを知る──現地名店と読書案内
NewsPicks編集部 65Picks

日本企業の関心高まるフィリピン 家事労働の来日は増えるのか
NewsPicks編集部 60Picks

課題山積のフィリピン政治 ドゥテルテ大統領の意図を探る
NewsPicks編集部 73Picks

フィリピン出稼ぎ立国は変わるのか 好景気の実力
NewsPicks編集部 65Picks

【フォトスライド】現地写真とグラフでみるフィリピン
NewsPicks編集部 81Picks
フィリピンは「アジアの病人」を脱することができるのか
NewsPicks編集部 143Picks

もっとシンガポールを知る──現地名店と読書案内
NewsPicks編集部 172Picks

リー・クアンユー後のシンガポール政治は盤石か
NewsPicks編集部 113Picks

日本占領期から100円ショップ人気まで。50周年を迎える日・シンガポール関係
NewsPicks編集部 91Picks
海賊の島から日本を抜く所得水準へ。変貌するシンガポール
NewsPicks編集部 901Picks
誰がやっても現代のシンガポールの繁栄を達成できたのか。あるいは、管理国家と言われますが、他の手段で現代の反映を達成できたのか。シンガポールを管理国家などと批判することは簡単ですが、代替手段があったのかとも問いたい。
エリートでない人たちも、決して楽な生活ではないもの、衣食住を足りる生活を実現している。また、止む得ない事情があり働けない人たちや困難な環境にある人たちへの福祉もほぼ完備されています。50年という短期間だったこともよく考える必要があるでしょう。
リークアンユーの回顧録を読むと、彼が国家経営にかけた情熱と、全体最適をどう実現するか、日々考え抜いていたことがよく分かります。全員が完全に満足できる経済政策は難しい。
昨年の葬儀で普段は政治に関心のない人たちでさえも、数時間の列に並びました。そこに、クアンユーという人物が残した成果を国民がどう評価したか、全てが表れていると思います。
リー・クアンユーは日本占領期に「粛正」の対象になりかけた人物です。本人の回顧録にあるように、なぜ、クアンユーが助かり、他の人が粛正されたのか、その線引きは曖昧でした。それでも生き残ったのは、クアンユーという希有な政治家が生まれ持った幸運なのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、ぜひ、第2回のシンガポール経済についての記事をお読み下さい。
バックナンバー
予告編【新】海賊の島から日本を抜く所得水準へ。変貌するシンガポール
https://newspicks.com/news/1639983
第1回【フォトスライド】現地写真とグラフでみるシンガポール
https://newspicks.com/news/1640181
就労ビザのハードルも上がってきているので、シンガポールの非正規雇用メンバーとしては、納税や雇用の面で会社(国家)に貢献して、今後も活動の場を確保したいところ。
『私は自分の人生のほぼすべてをこの国をつくりあげることに使った。それ以外に私がする必要のあることなどなかった。私が最後に得たものは何か。成功したシンガポールだ。私が捨てねばならなかったものは何か。私自身の人生だ』
蛇足ながら、いくつか僕自身の視点から付け加えておきたい。
1) 政治の腐敗の回避
これは記事内でも触れられているように、リー・クアン・ユーが成した最大の偉業かつ、人類社会全体における画期的なイノベーションともいえる。政治の腐敗は、中国や東南アジアなどに限った問題では全くなく、まさしくグローバルイシュー。アメリカなどでも、政治の腐敗による様々な問題は近年大きく扱われており、著名法学者のローレンス・レッシグは、アメリカ政治の腐敗の撤廃を公約に掲げて今回の大統領選に出馬を試みた(その後撤退)。国家の急速な発展のなかで、政治の腐敗を広がらせず、クリーンで透明性の高い法治を実現したのは、近代史のなかでシンガポールが唯一であろう。
2) テマセク・ホールディングス
シンガポールの政治経済を語る上で、テマセク・ホールディングスの存在には、日本ではそれほどスポットライトが当たらないが、避けては通れない要素(言うまでもなく川端さんはよくご存知だろうが)。テマセクHは、シンガポール財務省が100%保有している政府系ソブリンファンド。運用額15兆円、年間売上6兆円、純利益1.2兆円の巨大ファンドで、シンガポールの主要産業のメイン企業の株式を大部分保有している(シンガポール航空、DBS銀行、シングテル等)。現在のCEOは、現首相リー・シェンロン夫人のホー・チン。そして、国内だけでなく、インドネシアや中国にも積極的に投資をかけている。テマセクHの動きを概観するだけで、ASEANのさまざまな動きや政治バランスが見えてくる。
3) クリエイティブ産業振興
シンガポールの教育制度が、語学・数学・科学などの数値化しやすい領域に特化しすぎて、スポーツや音楽やアートなどの教育振興を極度に軽視してきたことは、国内でも批判が強まっていた。小国とは言えども、シンガポール出身のアーティストやスポーツ選手などの名前がほとんど頭に浮かばないことがその証左。近年、シンガポール西部のBuona Vista / one-north地域を、新しい教育振興の拠点にして、デザイン系の新大学 (SUTD) を設立したりしている。この辺りの政策実行のスピード感には感嘆するばかり。
「シンガポール政府の職員は、経済成長率などの数字がボーナスや昇給に影響する仕組みがあり、競争原理が取り入れられている」
人の数をこれ以上増やすことはできないから一人当たりの生産性を上げることに全力を上げるのでしょう。この考え方は日本も見習わないと。
「私は自分の人生のほぼすべてをこの国をつくりあげることに使った。それ以外に私がする必要のあることなどなかった。私が最後に得たものは何か。成功したシンガポールだ。私が捨てねばならなかったものは何か。私自身の人生だ」