「新自由主義」の時代は終わったのか?
2016/07/02, NewsPicks編集部
ポピュリスト vs. レッセフェール
「新自由主義」の時代は終わったのか?
2016/7/2
ブレグジットが、経済思想に与える影響とはなにか。自由放任主義の終わりを意味するのか。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、エドアルド・ポーター氏が、ブレグジットの歴史的な意味を考える。
第1回:【ビル・エモット】ブレグジットの破壊的影響
第2回:スライドストーリーで見る「ブレグジットの衝撃」
第3回:EU離脱の旗手、ボリスは英国のトランプか、チャーチルの再来か
第4回:ブレグジットは「戦後秩序」を破壊するのか?
第5回:【細谷雄一】イギリス離脱、真の勝者は「世界の極右勢力」
第6回:【FT・マーティン・ウルフ】今は私の人生で最も悲しいときだ
サッチャー、レーガン時代の終わり
ドナルド・トランプとボリス・ジョンソン。このふたりの登場で、ロナルド・レーガンとマーガレット・サッチャーが導いた時代がついに終わりを告げるのだろうか?
2008年の金融危機はレッセフェール(自由放任主義)的な経済政策の終わりをもたらすとかつて思われた。「常に正しい全能な市場というは終わった」と、当時のフランス大統領ニコラ・サルコジは宣言した。ドイツの財務相だったペール・シュタインブリュックは「アメリカは世界の金融システムの超大国という地位を失うだろう」と予測した。
資本主義の「マエストロ」と呼ばれた元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のアラン・グリーンスパンでさえも、自らが擁護し続けてきた自由な市場が引き起こした破綻に、「衝撃的で信じられない思いだ」と語った。「欠点を見つけた。その事実にとても動揺している」
しかし、レーガンとサッチャーの新自由主義に基づいた経済秩序(後によりリベラルなビル・クリントンとトニー・ブレアに引き継がれた)が、彼らが40年前に喧伝したグローバル経済から取り残された労働者の怒りに乗じた右派ポピュリストによって破滅させられると予測した人はほぼいないだろう。
英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱派が勝利したことは、EUをおせっかいな大きな政府としてサッチャーが嫌ったような、EUに対する嫌悪感だけが要因ではない。彼らにとってもっと根深い問題は、英首相としてサッチャーが積極的に促進したグローバル化だ。
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