ブレグジットと国際政治

ブレグジットは「戦後秩序」を破壊するのか？

2016/6/29

英国によるEU離脱は、単にEUの衰退だけではなく、第2次世界大戦後の世界秩序を破壊する可能性がある。ブレグジットの国際政治への影響を、NYタイムズのジム・ヤードリー記者らが分析する。
第一回：【ビル・エモット】ブレグジットの破壊的影響
第二回：スライドストーリーで見る「ブレグジットの衝撃」
第三回：EU離脱の旗手、ボリスは英国のトランプか、チャーチルの再来か

ポピュリズムが急伸

欧州連合（EU）からの離脱を選択したイギリスの歴史的な国民投票の結果を受け、EUは解体の危機にひんしている。

一方で、この「ブレグジット」の衝撃はより大きな問題も提起した──第2次世界大戦後にアメリカとその同盟国が中心となって築いてきた世界秩序も崩壊の危機にあるのではないか？

いま世界では、経済的な同盟が見直されたり、国境の概念がなくなったり、イデオロギーの対立が深まったりなど従来の秩序を覆しかねない変化が起きている。

イギリスの離脱も、そのような変革の波のひとつと捉えることができる。