ブレグジットは「戦後秩序」を破壊するのか?
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既存の世界経済秩序は、第2次世界大戦直後に、戦勝国となったアメリカとイギリスが中心になって創り上げたものです。IMF、世界銀行という金融通貨体制に関しては、特に国際会議が開かれたアメリカのニューハンプシャー州の街の名前から「ブレトンウッズ体制」という名前で呼ばれることもあります。いうまでもなく、ドル基軸通貨体制です。
AIIBではブレトンウッズ体制を構築したイギリスが中国と手を結び、このブレトンウッズ体制を覆そうとしています。反米のスタンスを取り続けている中国共産党と、凋落著しいとは言いながら旧覇権国のイギリスが手を握ったことは、アメリカにとってかなりの衝撃だったと言われています。これをきっかけにパナマ文書の問題を仕掛けたのではないか、とさえ。
中国と連携し、人民元取引センターとなることにより、シティを復活させようとしていたイギリス、凋落したとは言いながら、かつての覇権国であり、大英帝国時代の様々な資産を継承し、情報網であったり人脈であったり、制度運用のノウハウがあるイギリスを手に入れ、アメリカに対峙したい中国、双方の利害が一致している、と言われています。
結局のところ、後ろに見えてくるのは、中国共産党がドル覇権を打破し、人民元基軸通貨体制を世界に強制することにあります。「盟主ドイツの指導力が問われる。」大戦の暗い過去と贖罪から決別して、またもドイツが欧州政治の前面に出る。欧州が恐れるのは、英国離脱よりも、ドイツ強大化なのかもしれない。
EUの本音は、僕は本当は、「脱ドイツ」だと思うんです。フランスもイギリスも。ドイツがいなければEUは何もできませんが、でも、ヨーロッパの人は、本当は、ドイツが嫌いです。今も。その辺が今回の源流にもあると思います。