[東京 8日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続伸した。前場には為替が1ドル107円割れへとドル安/円高方向に振れたことが重しとなり、日経平均は一時93円安。ただ昼に発表された5月中国貿易収支で輸入が小幅の減少にとどまり、安心感につながったほか、公的資金の流入観測を背景に指数はプラスに転じ、この日の高値で引けた。原油相場の上昇を受けて石油関連株が堅調。半面、保険や鉄鋼、非鉄金属などが軟調だった。

東証1部の売買代金は1兆8207億円と4日連続で2兆円割れ。海外勢は総じて様子見姿勢だが、日本株は底堅い地合いが続いている。市場では「6月22日の参院選公示日に向けて公的買いなどの思惑が働きやすい。もっとも上値を買う投資家は不在で戻りは鈍い」(国内証券トレーダー)との声が出ていた。円高に対する警戒感も日本株の重しとみられている。

一方、先物市場では週末10日のメジャーSQ(特別清算指数)算出日を控え、期近から期先へのロールオーバーが活発化。日経平均先物ラージ9月限の日中売買高は前日比で約5割増加し、6月限の売買高に接近している。

日経平均先物の限月間スプレッド取引(6月限─9月限)は、マイナス40円台前半で推移。東海東京調査センター・マーケットアナリストの仙石誠氏は「理論値を下回るスプレッドとなっている。海外勢を中心に売りポジションを期先にロールしているとみられ、先行きに対して弱気な姿勢がうかがえる」とみていた。

個別銘柄では、ジャパンディスプレイ<6740.T>(JDI)が後場急伸。政府系ファンドの産業革新機構(INCJ)が、出資先の同社について、8日に三井住友銀行など取引先3行との協議に入るとロイターが報じた。市場では「手元流動性の面で懸念が後退したほか、金融機関の協力のもと、期待される有機EL分野などへ攻勢を掛けられるようになるとの思惑が働いたようだ」(国内証券)との声が出ていた。

またパナソニック<6752.T>も上げ幅を拡大。米電気自動車メーカー、テスラ・モーターズ<TSLA.O>のイーロン・マスクCEOがツイッターで、新型車である「モデル3用の燃料電池をパナソニックのみと取り組んでいる」とコメントしたことが材料視された。

東証1部騰落数は、値上がり1248銘柄に対し、値下がりが557銘柄、変わらずが151銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値      16830.92 +155.47

寄り付き    16722.49

安値/高値   16581.71─16830.92

TOPIX<.TOPX>

終値       1350.97 +10.20

寄り付き     1344.07

安値/高値    1332.61─1350.97

東証出来高(万株) 166613

東証売買代金(億円) 18207.28

*写真を差し替えて再送します。

(杉山容俊)