[シカゴ 1日 ロイター] - 米国の消費者、とりわけ18歳から34歳の「ミレニアル世代」のあいだで、風味がよく、新鮮な牛肉を使った高級ハンバーガーの人気が高まっており、「グルメバーガー」の売り上げは5年以内に倍増するとみられている。

冷凍肉の代わりに新鮮な肉を使ったグルメバーガーを提供する店の2015年の売り上げは前年比で15%増加し、50億ドル(約5450億円)に上ったと、世界最大の畜産先物取引市場があるイリノイ州シカゴに拠点を置く調査会社テクノミックが明らかにした。

ファストフードなどクイックサービス方式のレストラン全体の総売り上げ800億ドルから見ればほんの一部にすぎないが、高級バーガーの販売ペースは、普通のハンバーガーのそれを上回り、2021年までに倍増し100億ドルに達すると、テクノミックのダレン・トリスタノ社長は語る。

ミレニアル世代が成長するにつれ、「彼らは高級バーガーブランドについて考え、ベビーブーマー世代が感じていたのと同じようにはマクドナルドについて考えないだろう」と、トリスタノ氏は指摘した。

トレンディなレストランがトレードマークのハンバーガーチェーン、シェイクシャック<SHAK.N>は今年、米国内でさらに16店舗オープンする計画だ。一方、メキシコ料理チェーンのチポトレ・メキシカン・グリル<CMG.N>は「ベター・バーガー」の名称でハンバーガーチェーンを新しく展開する計画だが、その時期は明らかにしていない。

米国最大の牛肉卸売業者の1つであるカーギル[CARGIL.UL]によれば、高級なグルメバーガー人気は、同社が3月にサウスカロライナ州にある牛ひき肉加工工場の購入を進めた要因の1つだという。

米国はすでに牛肉を使ったハンバーガーの最大消費国であり、主要な消費者調査会社である米NPDグループによると、2015年は1人当たり30個を食べたことになる。2位はオーストラリアで、1人当たり24個だった。

こうしたレストラン業界は、より健康的でおいしいハンバーガーに惜しげもなく金を使う新たな顧客を取り込もうとしている。

シカゴの繁華街にあるシェイクシャックでは、ダブルチーズバーガーの価格は約8ドル(約870円)なのに対して、マクドナルド<MCD.N>のそれは2ドル程度だ。一方、ラスベガスのマンダレイ・ベイ・カジノ内のレストランで提供されている和牛とトリュフ、フォアグラを使ったグルメバーガーの価格は65ドル(約7000円)に上る。

マクドナルドでさえ、自社のバーガーに冷凍肉ではなく、新鮮な牛肉の使用を検討する気にさせられている。同社の広報担当者はロイターに対し、テキサス州ダラスにある14店舗では新鮮な肉を試験的に導入していると語った。

ハンバーガー市場は成長の余地が十分にある。ファイブガイズやスマッシュバーガーのような有名グルメバーガーチェーンは世界で計2500店舗にも満たない。一方、マクドナルドやバーガーキング[BKCBK.UL]の店舗は計5万店舗以上ある。

<牧場の牛も増加>

トレンドの変化に伴う需要増によって、すぐに供給が滞るわけではないと、食肉業界の専門家は指摘する。

米国産牛肉の今年の生産量は2015年の237億ポンド(1075万トン)から4%増の246億ポンド超になる見込みだ、とコロラド州にある家畜市場情報センターは予測している。

数年にわたる干ばつのせいで、2014年には63年ぶりの低水準となった牛の個体数が改善しているのに伴い、牛肉の生産量も増加している。水が十分に供給されるようになった現在、米牧場経営者はより体重のある牛を生産している。

「需要を満たすのに十分なくらい供給量が増えたのだと思う」と、コンサルティング会社スターリング・マーケティングのジョン・ナリブカ社長は語った。

(Theopolis Waters記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)