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トップの自己管理法

アスリートと経営者に共通するセルフ・コンディショニング

2016/5/30
16年間にわたってJリーグ・浦和レッズで活躍し、日本代表としても数多くの国際試合に出場した鈴木啓太氏は、2015年末に現役を引退後、バイオベンチャー「AuB」を創業した。同世代の起業家であり、長年のレッズファンでもあるKaizen PlatformのCEO・須藤憲司氏とともに、日々の習慣からメンタル調整法、快適なファッションが周囲と自分に与える影響力まで、トップを支える「セルフ・コンディショニング」の秘訣(ひけつ)を聞いた。
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第二のキャリアは経営者

──鈴木さんは昨年末に現役引退し、今年に入って「腸内フローラ解析」を専門にするバイオベンチャーで起業されています。どんな経緯があったのでしょう?

鈴木:きっかけは、腸内環境に関するサービス「ウンログ」を作った田口敬さんと話す機会があったことです。そこで盛り上がったのが、「腸内細菌とアスリートを掛け合わせたサービスができないか」という話でした。

僕は自分のセカンドキャリアで「アスリートのコンディショニング」に関わっていきたいと考えていたので、すぐに意気投合し、アスリートを中心とした腸内フローラ解析サービス「AuB」を立ち上げました。なぜ腸内細菌なのかというと、腸は人間の健康にとって大事な臓器で、コンディショニングに大きく関係するからです。

プロサッカー選手は定期的にメディカルチェックを受けてコンディショニングを管理していますが、そのデータとパフォーマンスがどう関係しているか、まだまだ情報量が少なく、実は明確には分かっていません。

食生活も同じで、どれだけ気をつけても、それが自分のパフォーマンスにどう関与しているかはハッキリ分からない。であれば、食生活によって変わる腸内細菌を調べて、そのベストな状態を保てば、コンディションの維持や、パフォーマンスの向上に役立つはずだと考えました。

これはアスリートに限った話ではありません。人間は誰でも、健康でなければ長期的なパフォーマンスは出せない。1日の練習でサッカーがうまくなることがないように、常に100%を発揮するためには、自律的にコンディションを整えていく意識が大切なんです。

鈴木啓太(すずき・けいた) 1981年生まれ、静岡県出身。2000年に浦和レッドダイヤモンズに入団。強靭(きょうじん)なフィジカルと無尽蔵のスタミナで、主にボランチとして活躍する。2006年には日本代表に初招集され、A代表通算28試合出場。2015年に現役引退し、ビジネスの世界へ。2016年に岡山大学の森田英利教授、ウンログの田口敬代表と共に「AuB」を創業、CEOに就任する。

鈴木啓太(すずき・けいた)
1981年生まれ、静岡県出身。2000年に浦和レッドダイヤモンズに入団。強靭(きょうじん)なフィジカルと無尽蔵のスタミナで、主にボランチとして活躍する。2006年には日本代表に初招集され、A代表通算28試合出場。2015年に現役引退し、ビジネスの世界へ。2016年に岡山大学の森田英利教授、ウンログの田口敬代表と共に「AuB」を創業、CEOに就任する。

“コンディション”とは何か

──なるほど。では、そもそもお二人にとって、「良いコンディション」とはどんな状態を指しますか?

須藤:ビジネスの場合、スポーツと違って試合のような具体的なピーク地点がないから、持続的に高いパフォーマンスを維持できるかが大事ですね。私の考えは、「いま自分がどこにいて、何をやっているか」を常に自覚していることが一番重要。

自分が設定したゴールに向かって、今なにをするべきなのかを逆算する。中長期的に自分の現在地をトラックし続けて、計画からずれているなら、計画もしくは自分を見つめ直すようにする。それができているときはコンディションがいい状態です。

鈴木:それはアスリートでも同じことが言えますね。サッカー選手は1年を通じたリーグ戦があり、途中にカップ戦や国際大会があり、それぞれのピークを考えてコンディションを作るのですが、結局ほぼ毎週のように試合があります。

試合環境も、海外や国内、アウェーやホームなど毎回違う。だから、単純に1つの試合だけにフォーカスしてコンディションを整えるよりも、「将来どういう選手になりたいのか」という目指す姿に向かって、日々の波を作っていくイメージです。

須藤憲司(すどう・けんじ) 1980年生まれ。2003年に早稲田大学を卒業後、リクルート入社。マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アド・オプティマイゼーション推進室を立ち上げ。同社の歴代最年少役員に就任し、リクルートマーケティングパートナーズで執行役員を務める。2013年にKaizen Platformを米国で創業。

須藤憲司(すどう・けんじ)
1980年生まれ。2003年に早稲田大学を卒業後、リクルート入社。マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アド・オプティマイゼーション推進室を立ち上げ。同社の歴代最年少役員に就任し、リクルートマーケティングパートナーズで執行役員を務める。2013年にKaizen Platformを米国で創業。

体と心は50:50

──目標やゴールに向かってコンディションのピークを作るために、何か意識していることはありますか?

須藤:経営者の仕事は“個人技”がほぼなくて、チームワークで達成することがほとんどです。だから、集団としてのピークの持っていき方を考えますね。

われわれはスタートアップなので、全社員の調子が悪くなると、会社は露骨に傾きます。今100人くらいメンバーがいるなかで、それを複数のチームに分けて、チームごとにピークがずれるようにしています。

具体的には、難しいタスクの答えを導き出せて勢いに乗り始めたチームAがあれば、次にチームBに抽象度が高い難しいタスクに取り組んでもらう。チームBが手応えをつかんで勢いに乗れば、次にチームCに難しいタスクに取り組んでもらう、というふうに役割を分散するわけです。

困難なタスクは手応えをつかむまではモヤモヤして調子が悪くなりがちなので、バイオリズムを少しずつずらしています。

鈴木:経営者の仕事は、サッカーでいうと監督ですね。

須藤:似ていると思います。私が個人として日々気をつけているのは、暗くならないこと。トップが落ち込んでいると他の人に与える影響が大きいので。

鈴木:「最近社長が暗い」と言われたらまずいですね。

須藤:やばいですよ。そうならないように、気持ちが暗くなりそうになったら仕事のことはいったんシャットアウト。サウナや温泉に行ったり、散歩をしたりして、とにかく「考えない時間」を作ってリフレッシュします。

鈴木:アスリートも「トレーニングと同じだけ休むこと」が大事なので、よくわかります。パフォーマンスには体と心が50:50の割合で影響するといわれていて、バランスが重要なんです。

でも、アスリートでも体をベストの状態まで持っていけるのは、1年間のシーズンを通じて1回あるかないか。だから僕自身が現役の頃は、できるだけ「体」の状態を40〜50の間でキープすることを心がけていました。

逆に、「心」は振り幅が大きい。たとえばプライベートでパートナーともめたら、簡単に10まで落ちたりする。でもなにかうれしいことがあれば、あっさり50まで回復する。体より心の状態を保つことのほうが難しいですね。
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信頼関係の存在がメンタルを整える

──メンタルは人それぞれに差が出る部分だと思います。どう調整していたのでしょうか?

鈴木:練習や試合中のパフォーマンスについては、いいプレーも悪いプレーも1日が終わったら一度忘れて、自分の長期的な目標を見つめ直していました。「自分がどんな選手になりたいか、どんな人間になりたいか」をイメージすることが、サッカーだけでなく、プライベートについても効果的でしたね。

もうひとつ、「信頼できる人の存在」はメンタルに強く影響します。現役時代は、ペトロビッチ(現・浦和レッズ監督)の影響がとても大きかったです。監督は練習前に、毎朝必ず全選手とハグをすることを習慣にしていたんですよ。

そのとき、「おはよう、調子はどうだ。奥さんは元気か? 子供はしっかり学校に行っているか?」とプライベートまで踏み込んだコミュニケーションを取ってくる。最初は戸惑いましたが、実際に家族が体調を崩したときは「啓太が望むなら1日でも2日でも休んでいい」とまで言ってくれて、徐々に仕事を超えた信頼関係になっていきました。

そう言ってくれる存在はとても大事で、こういうチームが強いんだなと思いましたね。引退する直前の4年間は、ペトロビッチ監督と話すことでメンタルを調整させてもらいました。

須藤:よく「顔色を見る」って言いますけど、そういうコミュニケーションはマネジメントにおいて本当に大事ですね。マネジャーとメンバーの間で、仕事とは関係のない会話が普通にできる状態を作らないと、水面下で起こっている小さな問題をキャッチアップできないんですよ。問題が見える状態になったときは、すでに対処できないことがほとんど。

ペトロビッチ監督のコミュニケーションは、小さな問題にすばやく対処して、チーム全体のコンディションを高めるいい方法ですね。

付け加えると、コンディションが悪いときでも一定のクオリティをキープしている人は信頼できます。逆に良いときと悪いときの差が激しい人は一緒に仕事をしづらい。信頼関係にも影響してきますね。
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服装もセルフ・コンディショニング

──サッカー選手には、パフォーマンスのためにウェアやスパイクにこだわる人もいます。ビジネスにおいても、身に着けるものでコンディションを変えることを意識したりはしますか?

鈴木:現役時代はサッカー選手のイメージを崩さないことをいつも心がけていたので、「自分がどう見られるか」は気を使っていました。

須藤:ビジネスでは、ファッションはTPOが重要ですから。もちろん商談にはカチッとしたスーツやジャケットで行きますが、僕は普段オフィスにいるときはカジュアルでリラックスした格好をしています。

特に、月に1回開催している、全社員参加のオフサイトミーティングでは、リラックスした格好をしないと、メンバーから話を引き出せない。クリエイティブな会話をするときや、メンバーから話を聞きたいときは、今日みたいにカジュアルな格好じゃないとダメだと思っています。

鈴木:それはすごくわかります。以前社内でミーティングをしたとき、みんなスポーツウェアを着ているのに、僕だけスーツだったんですよ。だからすごく場が硬くなって、話が全然広がらない。これは失敗したなと思いました。

須藤:相手から引き出す必要があるときは、自分だけじゃなくて、相手をリラックスさせることが大事ですね。たとえば今日履いているジョガーパンツは、履いていてリラックスできるし、社内と社外、いろいろなシチュエーションに合うので使いやすい。実は以前からヘビーユーザーです。

鈴木:確かにこのジョガーパンツなら、上にジャケットを着ても合いますね。お世辞抜きで、色違いで何本も欲しいくらいイイです。

この日の両氏が着用しているのは、オフィスカジュアルとしても活用できる「ユニクロ MEN コットンジョガーパンツ」。ウエストがゴムで楽にはけ、キチンとした印象とリラックスした快適な履き心地を両立。裾が絞られたすっきりしたシルエットで、軽い運動や自転車にも使えるほか、ビジネスにおいては移動が伴う出張シーンなどでも活躍。

この日の両氏が着用しているのは、オフィスカジュアルとしても活用できる「ユニクロ MEN コットンジョガーパンツ」。ウエストがゴムで楽にはけ、キチンとした印象とリラックスした快適な履き心地を両立。裾が絞られたすっきりしたシルエットで、軽い運動や自転車にも使えるほか、ビジネスにおいては移動が伴う出張シーンなどでも活躍。

夢とキャリアに終わりはない

──最後に、お二人がコンディションを保つために日々心がけていることや、習慣があれば教えてください。

須藤:会社の業績に一喜一憂しないこと。自分と会社が一心同体のような起業家も多いですが、そこは分けないと身がもたないですから。会社の調子がいいときはうれしいですけど、それでも「調子いいんだな」くらいに客観視することですね。

鈴木:僕はイメージすることです。自分が想像していないことは起こらないと思うし、想像できることは頑張れば実現できると思っています。ただ、自分が選手として「W杯に出場する」という夢は、残念ながらかなえることはできません。

だから、後進のアスリートたちに自分の夢を乗せたい。自分が作ったサービスを使った選手に、W杯やオリンピックで活躍してほしいと思っています。それが僕にとっての新しい挑戦です。

須藤:W杯の夢は終わっていないんですね。

鈴木:終わっていないです。僕の後輩が頑張っているし、一緒にやっていた仲間が頑張っている。そうした選手を見て、子どもたちも頑張っています。僕が三浦カズさんを見てサッカー選手に憧れたように、僕のプレーを見て憧れてくれて頑張っている子どもたちがいる。ずっとつながっているんですよね。

選手としてのキャリアは終わったけど、夢は終わっていない。次はビジネスという新しいフィールドで、自分の最高のパフォーマンスを発揮していきたいです。

(聞き手:呉 琢磨、構成:田村朋美、撮影:須田卓馬)

快適なスタイルでいることは、周囲との関係性にもポジティブに影響し、個人のパフォーマンスを高めることにつながる。
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