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「日本経済を元気にする」。その思いを胸に、戦略コンサルティングや投資育成事業を通じて社会のあり方を変えるための事業創造を続けるドリームインキュベータ(以下:DI)。同社では、高い志とプロフェッショナリズムを持った社員が多数活躍している。彼らは、どんな思いでDIの門戸を叩き、どんな挑戦を続けているのか。DIで「日本を変える」ための取り組みを仕掛ける社員の話を聞いた。

30代幹部候補生からの転身

──入社前の問題意識について教えてもらえますか?

石原 日本の製造業が技術で勝っていたとしても、ビジネスでは負けてしまう、0から1を生んでも10、100につながらなければ意味がないのではないかという問題意識を持っていました。

もともと、学生の頃から、0から1を生み出す仕事をしたいと思い、ソニーにエンジニアとして就職し、誰もやったことがないような研究に従事していました。

しかし、研究したことを事業にしようとすると、当然ながら、色んな人の協力を得ないと実現できない分、非常に難しいわけです。だからなのかわかりませんが、研究開発を商品まで結びつけていない、ないし、結びつける意識の弱いエンジニアが多い。これでは、日本は仮に技術で勝ってもビジネスで負けてしまうという問題意識を強く持ちました。

中澤 私の場合は、財務省にいた当時から、日本産業の将来について強い問題意識を持っていました。様々な大企業の業績悪化のニュースが流れる度に、このままだと日本の活力はますます失われていくと危機感を感じていました。

こうした中で、官民が一体となって競争力強化に取り組むべきという意識を強めるのですが、政策立案の状況を見ると、官と民との間に大きな壁があるのが実態でした。そのような中で、自分が官と民とをつなぐ人間にならないといけない、そのためには民間ビジネスにまずは身を投じなければならないと考えるようになりました。

この思いは、米国ビジネススクールへの留学を経てより強くなりました。ビジネススクールで最も衝撃的だったのは、周りにいる学生起業家たちでした。彼らは、在学中に自分のビジネスをどんどん大きくしていき、人々の暮らしを変えていました。そこでビジネスの力を体感する中で、「こうした新しいビジネスの力を日本でも作っていかないといけない」という思いをより強く持つようになりました。

ドリームインキュベータ シニアマネジャー 石原 英貴 京都大学工学部工業化学科卒業。京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻修了(工学修士)、ノースカロライナ大学経営学修士(MBA)、ソニーを経てDIに参加。ソニーでは、次世代リチウムイオン電池の研究開発、製品化に従事。発明特許多数。DIでは、ハイテク、環境エネルギー、自動車等、技術分野を中心に事業戦略立案・実行支援に従事。

ドリームインキュベータ シニアマネジャー 石原 英貴
京都大学工学部工業化学科卒業。京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻修了(工学修士)、ノースカロライナ大学経営学修士(MBA)、ソニーを経てDIに参加。ソニーでは、次世代リチウムイオン電池の研究開発、製品化に従事。発明特許多数。DIでは、ハイテク、環境エネルギー、自動車等、技術分野を中心に事業戦略立案・実行支援に従事。

──DIを選んだ理由を教えてください

中澤 外資系の戦略コンサルティング会社でもインターンをしましたが、「政府の力もレバレッジしながら、複数企業を巻き込み、産業そのものを創造する」。こんな大きなビジョンを掲げつつ、実績を残している企業は、DIしかなかったですね。

産業全体を変えたい、国全体を変えたいという意識を持つ私には非常にフィットしたので、DIに入社しました。

石原 技術×戦略×政策を合わせた戦略コンサルティングが、とても面白いと思ったからです。

私も転職前にビジネススクールに入りました。バックグラウンドが違う人と交わりながら、多様性の中から新たな価値を生み出す経験を得たいと思ったからです。正直その時は、コンサルは机上の空論だと思って、MBAを出た後はコンサルだけは行きたくないと思っていました(笑)。

しかし、たまたまDIがアメリカに会社説明に来ていた際に議論したところ、意気投合。その後のインターンで、技術×戦略に政策を絡めると全く違う戦い方ができる点に衝撃を覚え、まさにDIしかできないことだと思い、入社を決めました。

また、優秀かつ志が高い人が集まっていて、青臭い話でも真面目に出来ることも魅力でした。中途だけでなく、新卒も凄く優秀ですし、コミットメントも高いです。

霞が関・大企業とのギャップ

──DIの特徴について教えてください。

石原 先の時代を見据えた全社的な戦略案件が多いこと。成熟した時代の中でいかに新しい価値を出すかを追求しています。これまでは、「過去の延長線上に数年後の戦略を策定する」ことが、いわゆる戦略コンサルの大部分の仕事を占めていました。しかし、今のクライアントは「過去を振り返るだけでは、未来は築けない」と気づいています。

加えて、DIのコンサルティングは、単に分析して答えを出すだけでなく、いかに人を動かして実現していくかを重視している点にあります。綿密な分析と明確なロジックに基づく戦略策定スキルは、人に納得して動いていただくための必要条件に過ぎず、十分条件にはなりえません。

組織面では、プラクティス制を作っていないので、色んな業界のプロジェクトをやれるところが特徴的だと思います。ある業界の成功/失敗要因が、他の業界にもアナロジーとして生かせるようになるので、幅広い視野で成長しています。

中澤 業界外の知見、フラットな考え方にも長けているからこそ、クリエイティブな発想を生み出し、クライアントに付加価値を提供していると思います。小売業(Amazon)が世界一のシステム企業と互角に戦い、広告業(Google)がクルマを作るような時代ですから。もはや業界中の戦略変数では大きな事業創造は起きづらいですね。

石原 そうですね。加えて、一人一人がオーナーシップを持って会社を変えていけるところも特徴だと思います。入社時も「7年後のDIはあなたが作る」と言われました。私の場合は、入社直後から役員が行うプロジェクト営業について行くこともできました。経営者の人とこうやって会話して、プロジェクトの価値をこうやって感じてもらんだと、早くから間近で見ていました。

中澤 主体的に組織自体の成長に寄与できる楽しさは得難いですね。

ドリームインキュベータ マネジャー 中澤剛太 東京大学法学部卒業。ペンシルバニア大学経営学修士(MBA)。財務省を経て、DIに参加。経済産業大臣秘書官も経験。財務省では、貿易政策や税制政策の立案に主に従事。経済産業大臣秘書官在職時には、あらゆる分野の産業政策立案において大臣を補佐。特に製造セクタ、情報セクタにおける官民一体の取組み(実証、研究会等)に深く関与。DIでは、ハイテク分野における技術シーズの事業化戦略を中心に、物流やマーケティング等、幅広い分野に従事。

ドリームインキュベータ マネジャー 中澤剛太
東京大学法学部卒業。ペンシルバニア大学経営学修士(MBA)。財務省を経て、DIに参加。経済産業大臣秘書官も経験。財務省では、貿易政策や税制政策の立案に主に従事。経済産業大臣秘書官在職時には、あらゆる分野の産業政策立案において大臣を補佐。特に製造セクタ、情報セクタにおける官民一体の取組み(実証、研究会等)に深く関与。DIでは、ハイテク分野における技術シーズの事業化戦略を中心に、物流やマーケティング等、幅広い分野に従事。

──前職と比較して、DIでの仕事にギャップはありましたか?

中澤 霞が関という世界は、ファクトとロジックが全てです。論理的思考は鍛えてきましたし、自信もありました。一方DIでは、論理的な思考に加えて、思考の「ジャンプ」が求められるという点が最も大きなギャップでした。

新たな成長につながるソリューションに行きつくためには、論理だけでは限界があり、幅広いセクターでのビジネスの事象、歴史を俯瞰・理解した上でのアイデアが必要になる。また、求められる主体性・能動性という点でもDIと財務省にはギャップがありました。

自分自身は、財務省の中では一番能動的な方だったと思いますが(笑)、自分で何かを生み出さなければいけないというプレッシャーはDIのほうが強いです。

石原 最もギャップに感じたことは、求められる時間軸とアウトプットです。プロセスは全く評価されず、結果しか求められません。

一方、クリエティビティが求められるところは同じだと思いました。エンジニアも0から1を生むテーマを扱うという点において、孤独に耐えながら、オリジナリティをもって成果を出す仕事なので。

日本を元気に~10年後の未来への想い

──戦略コンサルティングを超えて、新たに取り組んでいることはありますか?

石原 日本の製造業全体を変えるために、日経BP社と連携して、CTO30という取り組みを始めました。ビジネスも技術も分かる次世代CTOを育てようとしています。
(※日経BPと共同で主要メーカーの次世代CTO候補を対象に、講演や事例研究などを通して技術経営について議論する会議)

以前から、技術への意識が必ずしも高くない経営者が多いこと、ビジネスを意識しないエンジニアが多いこと、トップとボトムの間にあるこの大きな隔たりが問題だと思っていました。一方で、クライアントの中には技術とビジネスの両方に精通されている方がいらっしゃり、経営トップから大変信頼されている姿を目の当たりにしてきました。

技術とビジネスの両方の知見で、社内を大きく変えている方に出会う中で、そういった方が30人も生まれれば日本は変わるだろうと思い、本取り組みを始めました。

今後は、テクノロジーの本質を分かっている人が、未来を見据えて、戦略を立てていくようになると思います。その際に、CTOの役割はますます重要なものになっていくと考えています。

中澤 私が行っている挑戦は、DIの投資先であるスタートアップのインキュベーションです。特に米国のWrap mediaとは毎日のようにビデオ会議をしながら、日本市場でのサービス拡大に向けた取り組みを進めています。
(※Wrap mediaは、アプリに代わるモバイルコミュニケーションツールを展開するベンチャー企業。創業者は、時価総額1,000億円企業を2社IPOしたシリコンバレーのシリアルアントレプレナー。2015年にDIが投資。)

こうしたスタートアップに対するインキュベーションは、大企業コンサルティングとは違った意味で非常にチャレンジングです。経験のあるシリアルアントレプレナーは、本気でビジネスの力で社会を変えようとしている。彼らには、10年後の社会を見据えたインサイトがある。彼らと議論するだけでも非常に頭を使いますし、彼らをサポートするには、彼らの先を行く思考と行動が必要になる。

非常にタフな仕事ですが、こうした経験を積んでいくことで、ビジネスのプロフェッショナルとして大きく成長している自分を認識しています。

──新しい取り組みに、戦略コンサルタントとしての能力がどう活かされたと思いますか?

石原 技術とビジネスの両方を見据えて経営判断をしている経営トップ層の傍らで実際に仕事をしてきた経験が活きていると思います。

中澤 まず、世界有数のシリアルアントレプレナーやキャピタリストと同じ目線で議論するだけでも、コンサルティングで培った経験と能力が必要になります。彼らは、将来の社会の潮流、そこから生まれる新しいビジネスチャンスを常に真剣に考えている。コンサルティングを経験していなければ、彼らとビジネスを創っていくことはできません。

また、大企業コンサルティングで培ったネットワークは、インキュベーションにも活かせます。特にDIのクライアント企業は、イノベーティブな技術・サービスに感度が高い。そういった企業とのネットワークがあるからこそ強いインキュベーションができるのだと感じています。

石原 投資や事業経営をすることで、戦略コンサルティングに活きる面も大きいですね。多様な経験を積んだコンサルタントと話すと、組織をドライブする強い力を感じます。

──新しい取り組みは、DIでしか出来なかったことでしょうか?

石原 そうですね。日本発のコンサルティング会社として、「日本を元気にしたい」というテーマを掲げているDIだからこそ、お客様・参加企業が自然にCTO30に協力してくださったと思います。実際に、いろいろな方に「DIさんらしいね」と言われます。

中澤 そもそも、大企業に対する戦略コンサルティングと投資育成事業を、高いレベルで両立する組織はDI以外に見当たりません。戦略コンサルファームに行っても当然投資はできない。投資だけやっても、インサイトやネットワークが培われないので、シリアルアントレプレナーや世界のキャピタリスト達とは議論すらできないでしょう。

求める人材像

──今後、どのような人にDIに来て欲しいと思いますか?

石原 DIは個人として、組織として、常に上のレベルを志向し続けている会社です。「新たな価値を生み出したい」「世の中にインパクトを与えられるビジネスパーソンになりたい」そんな熱い思いを持った方に、ぜひ門戸を叩いていただきたいです。

中澤 DIはまだ発展途上の会社です。DIという会社自身を一緒に創っていく気概を持った仲間の参画をお待ちしています。