民間宇宙開発の時代における、NASAやJAXAの役割とは?
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僕の記事、第二弾。一回目の記事を頼まれた時に、「もう一本書かせてくれ」と逆に頼んで載せてもらったのがこの記事です。それだけ僕の言いたいことが詰まっています。
「何の役に立つかわからないことに国民の血税を使うなんて」
などという批判を時々耳にしますが、科学技術においては完全な的外れ。だって、役に立つとわかっている(=収益になる)ことなら民間でもできる。民間でもできることに税金を使うことこそ最大の無駄です。国の役割は、民間にできないことをすること。民間に取れないリスクを取ることです。
無料会員の方向けに、記事の末尾の部分を抜粋します。ここが僕が最も言いたかった部分です。
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いまひとつ、NASAやJAXAが担うべき役割がある。もしかしたらこれこそが、最も重要で、根源的な役割かもしれない。
科学だ。「ホモ・サピエンス(知識のある人)」を自称する人類が本能として持つ知的好奇心の、あくなき追求だ。
宇宙はどのように始まり、どのように終わるのか。
太陽系や地球はどのように形成され、どのような運命を迎えるのか。
生命はいかにして発生し、どこへ向かうのか。
そしてわれわれは宇宙にひとりぼっちなのか。
これらの根源的な問いに答えるために、われわれは彗星に探査機を飛ばし、核に含まれる水や有機物を探る。
火星にローバーを走らせ、太古の川の流れによって堆積した土壌のサンプルを採集し、地球に持ち帰って分析する。
氷貫通レーダーを積んだ探査機をエウロパに送り、氷の下に隠れた海の謎を解き明かす。
宇宙望遠鏡を打ち上げ、系外惑星からの光を分光し、その大気に含まれる生命の証拠を探す。
これらのミッションは莫大なコストがかかるかもしれない。宇宙ビジネスの活性化は、そのコストを大幅に下げてはくれるだろう。
しかし、たとえそうだとしても、先に挙げた科学的・哲学的な問いへの答えを見つけることは、1円の収益も生まない。
だが、われわれ人類には、儲けにならなくとも為すべきことがある。
儲けになることは、すべて民間に任せればいい。
儲けにならないけれども人類が果たさなくてはならない使命を果たすのが、NASAやJAXAの最大の使命であると、僕は考える。確かに、民間では取りきれないリスクを国が引き受ける、というのは分かりやすい。NASAはその通りなのだろうが、日本のJAXAはどうなのだろうか? 今後、日本においても民間宇宙開発が活発になっていく中で、JAXAにもそういったメンタリティを期待したい。