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日銀の財源は異次元のマネーだ。日銀の純資産は3.7兆円ぐらい。ETF8.6兆円+信託財産株式が約1.4兆円=10兆円ぐらい。 株式のリスクだけでもレバレッジが3Xへ向かっている。 これは、日本の民間銀行が90年代の緊急危機のとき以上のレバレッジだ。
株式市場に世界的な大ショックがあったときに、国の中央銀行(=信用の要)が株式リスクに多大なレバレッジをかけて良いわけがない。
日銀は、一応「上場株式会社」である(コード8301)が、ガバナンスが機能しているとは思えない。機能しているのであれば、このようなレバレッジが許されるわけがない。
株式は、債券と違って償還がない。
大問題を、更に深めている。
・株価形成を歪める
・日銀が民間企業の大株主であることが好ましくない
・「出口」が難しい(株には償還期限がない)
が主な理由だ。
株式を爆買いするよりは、消費税率引き上げの早期凍結発表など、素直に財政を使うべきだろう。
仮に、日銀が年間3兆円を超える株式買い入れを「止める」と今発表すると、株式市場にはそれなりのショックを与えるだろう。デフレ脱却のためにも、参院選のためにも、今はやりにくい。この不都合な状況は日銀自身が筋悪の政策で招き入れたものだ。
拙い政策を撤回するためには、そのショックをカバーする別の政策が必要になる。
ファストリの「見えない大株主」というタイトルの記事(http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXMZO8865431029062015000000)
「先週25日に5万7000円の上場来高値をつけるなど上昇基調が続くファーストリテイリング株について、市場関係者の一部で、ある「大株主」の存在が意識され始めている。証券コードは「8301」。異次元の金融緩和政策の一環として2010年12月から上場投資信託(ETF)をせっせと買い入れてきた日銀のことだ。」がまさにその証左であり、既に5%こえ、とされる。としている。今なら、もっとだろう。
ヘッジファンド時代に「日経平均を無理やりあげるために、まず値嵩だが流動性の低いファストリ株などを買い上げ、レバレッジで日経平均を上げる大手ヘッジファンドがいて困る、と思っていたが、それは他ならぬ日銀であったとうことだ。
ファンドマネージャ時代の経験と業界の常識、さらにDRAM需給の対比では、全体の売買の10%出来高で無理やり買えば、株価を倍半分変えうる可能性がある、と書いた(http://www.circle-cross.com/2015/04/11/2015年4月10日-日経平均2万円を祝って-株式需給とdram需給/)。ここまでは、それが可能であったが、さらに倍の4万円を目指すとなると、日銀もGPIFなども限界がある。その限界に日銀は挑戦するのか、アベノミクスの中で、中立な貨幣の番人から、ファストリなどの上位株主に躍り出るヘッジファンドに変身してしまったのか。いっとき危うかったが長期金利はコントロールできるのだろうか。円の番人は、いったい誰なのだろうか
そして、そもそも、日銀がジャスダックにいるのはどういうことなのか。ふつう上場目的は、資金調達や知名度、学生採用などだろうが、どれをとっても十分だ。四季報には、株主は財務大臣55%とだけで他の株主は不明、上場は1983年11月、資本金は中小企業の1億円、P/L、B/Sはあるが、有価証券報告書はなく、当然IR資料もない。東証などは、どう思っているのだろうか。
デフレマインドを呼び覚ますから出口政策を議論するのは時期尚早、というのが日銀の説明ですが、本当は、議論すればするほど困難が目立つことを心配しているのでは・・・ って私は疑り深過ぎるかな。先日会った政策決定者の一人は、自信を持って語ってくれたけれど。
日本株はGPIFと日銀で形成された官製相場と指摘してきたが、日本の大手企業が軒並み公的企業になるという話は笑えない。
渋澤さんの指摘の通り、日銀のリスクは許容範囲を越えつつある。そして、長期的に見て円の信頼に直結する。心ある日銀マンは何を思う。
日銀に関して、ETFを買うのではなく、パッシブアカウントの設定をして議決権行使のガイダンスを運用ガイドラインの中に厳しく入れるといったことをすれば、ガバナンス改善効果はある。ただ、それをやれば、そもそもガバナンスに関して日銀がどこまで入るべきかという別のガバナンス問題も発生する。
ドラッカーが天国から雷を落としそうですね…。
問題は「出口戦略」「コーポレートガバナンス」、そして「株式という仕組みの本質の喪失」にありそうです。
株式とは本来、その「個別の企業」に対する成長期待によって成り立つものです。
しかし、外国人投資家および日銀も仲間入りした「ヘッジファンド勢」にとっては、「個別の企業」の実情などほとんどどうでもいいわけです。
彼らは「日本がどうか」しか見ていない。
だから、日銀含む「ヘッジファンド勢」が株式市場を牛耳っているということは、「個別の企業」の成長期待を膨大なマネーの奔流で無意味化し、日本市場全体を「成長に向かない土壌」にしてしまうおそれがあります。
安倍内閣の「成長戦略」が成功しない理由は、こう考えれば必然なわけです。
成長は、成熟した経済においては「個別の企業」からしか生まれないのですから。