GEとイメルトは「ピボット」できるのか?
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■金融部門の歴史
金融部門であるGE-Capital(以下GECC)は1933年大恐慌の中、冷蔵庫等の在庫を抱え込んだフランチャイズディーラーを金融面で支援するために設立された。50年代まで殆ど事業拡大しなかったが、60年代にリースも手掛け始め、70年代に住宅、不動産、企業向けローン、クレジットカード事業など多角化した。しかし規模は小さかった。転換させたのはやはりジャック・ウェルチ。
70年代後半にウェルチが消費者向け製品の長になって初めてGECCを管理。将来性に着目し、金融を猛勉強。金融ビジネスが知的資本そのものの勝負であり、適材配備、GEの強固な財務体質を活用すれば“製造業よりも容易に稼げる”と踏んだそう。80年代以降、買収を軸に急速に事業拡大。ただし成長軌道に乗っていれば№1/2になる必要はないとされていた。
そんなGECCだが、イメルトCEOは金融危機が表面化する前から金融事業への依存度を下げるべく日本の消費者金融子会社を売却したり、その他もエクスポージャーの引き下げを行いつつあったが、2009年の危機に間に合わなかった。(ただしコマーシャルファイナンスやリースなど産業部門との関連性が高い機能は引き続き重要と判断していた)
その後の動きは下記記事でコメント。
https://newspicks.com/news/1475753?ref=user_225356
■ファストワークス
「西海岸カルチャーへシフト」ではなく、意識の「取り込み」だと思います。まだまだハードウェアな業界であり、また彼らの事業は人命や安全にかかわるモノが大半ですので、安易な失敗は許されません。許容できる「失敗領域」の中でどんどんやっていこうという事かと理解しています。
この点、下記記事でもコメントしましたが、ファストワークスといった1つのポイントだけを切り取っても真の強さは分からない。個性の強い企業文化があるGEは、その歴史の上に線でつながっている企業活動(教育からビジネスモデルな)すべてが連関していると思います。
https://newspicks.com/news/1385562?ref=user_225356
昨日「特にGEの場合は、彼らの長い歴史を紐解くことで「流れの中で“今”を見る」ことをしないと理解しにくい」とコメントしたのはこういう意味です。
注目のコメント
"試し、ピボットし、再び試す"というサイクルを回していることもそうですが、イメルト氏がすごいのはウェルチ氏の下位10%の社員解雇をやめてより寛大なシステムに変えたこと。GEほどの大企業で、前任者がうまく回していたシステムはどうしても踏襲してしまうもので、これを全面刷新するというのは口で言うほど簡単なことではないですね。
僕がものすごく好きなGEの変革のはなし。GEほどの規模で、事業ポートフォリオを組み替えながら、ハードの企業文化をソフト(IT)の文化に変えていくのは、並大抵の変革じゃない。ただ、IoTの分野はデータを持つプレイヤーがポジショニング優位であり、GEに眠る大量の産業用機械関連データは、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアの知的好奇心をくすぐるはず。トップがこのレベルでリーンな文化への理解と変革の意志を示しているのであれば、2020年には本当に世界有数のソフトウェアカンパニーになるのかもしれない。この規模の企業体でこのレベルの変革を推進できるGEを心からリスペクトする。
個人的にポイントだと思うのは、GEというインフラ・医療など極めて信頼度が求められる領域の企業が、変わろうとしていることだと思う。それは、単純に「シリコンバレー化」すれば、必ず失敗する。というのは求められる信頼度が違うから。特に開発段階でのPDCAは推奨しつつ、逆に顧客に出す段階でクリティカルなものは従来通り品質担保しないといけないはずで、相反する二つの文化を社内で持つことだと思う。それを見誤れば表層しか見ていないし、他社が表層だけ見て真似すれば火傷するだけ。そしてここらへんまで含めて、King HIDIEさんの安定コメント(いつも有難う御座います)!