【新】シェアリングサービスが日常化するアジア

2016/4/19
シェアリング生活を実体験
シンガポールでシェアリングエコノミーは、既に生活の一部になっている。日本ではいまだ導入の是非をめぐって議論がなされていることとは対照的だ。
もちろん、シンガポールと日本では事情が異なるため、日本もシンガポールのようにどんどん使えばいいのだ、という結論を簡単に導くことはできない。
筆者はシンガポールに赴任して約1ヶ月の間、実際にシェアリングエコノミーの各種サービスを活用して生活を送った。非常に便利だと感じる場面が多かった反面、課題や問題点も実感した。
シンガポールや新興国だからこそ活きるサービスと感じるものもある一方、日本では不要かもしれないと思うサービスもある。
オーチャード駅で大々的に展開していたライドシェアアプリ「グラブ」の広告。オーチャードは東京の銀座に該当するような中心地。もはや人々の生活に浸透している。
日本で知られざるローカル勢も伸張
筆者が具体的に利用したのは、Airbnb、Uberなど日本でも知られた「グローバル勢」はもちろんのこと、Grab、GoGo VAN、Carousellといったアジアの「ローカル勢」も相当活用した。
日本でシェアリングエコノミーといえば、ビジネスの観点からは「既存企業VSシェアリングエコノミー」という図式で捉えられている。
しかし、シンガポールではその段階は超えており、「グローバル系シェアリングエコノミーVSローカル系シェアリングエコノミーVS既存企業」、という三つ巴の図式になっている。
これはシンガポールに限らず、隣国のマレーシアや、より所得水準の低いフィリピンやベトナムでも、ほぼ同じような図式が見える。米国でもUberの対抗馬としてリフトが登場している。
つまり、新興国であろうと先進国であろうと関係なく、他国では三つ巴の競争環境へと突入しているということだ。むしろ、シェアリングエコノミーが緒に就いたばかりの日本市場が特殊なのかもしれない。
広まる前に考えるか、広まってから考えるか
1ヶ月のシェアリング体験を振り返ると、グローバル勢のサービスでもローカル系勢によるものでも、赴任してすぐの何かと勝手がわからない生活を極めて便利にしてくれたと感じている。
シンガポールは物価が比較的高い。2016年3月10日付の 英国The Economist誌が発表した調査によれば、シンガポールは世界で一番物価の高い都市という結果が出ている。
概ね東京と同等か、東京よりも高いサービスが一般的だ。シンガポールに移り住んでみて、日本がいかに低料金で良質のサービスを提供しているかということも身にしみて感じた。
一方で、これからシェアリングサービスが本格的に導入されていくであろう日本にとっての課題も見えた。日本のタクシー業界やホテル業界がシェアリングエコノミーとどう勝負していくべきかなど、いくつかのヒントも得られた。
ちょうど同じ時期に、NewsPicksで特集「 シェアリングエコノミー」が組まれており、日本の状況と比較しながら、シンガポールでシェアリング生活を送ることができた。
ライドシェアについてはシンガポールでも、運転手に対して一定のトレーニングを義務づける動きが出てきている。「すべて自由にどうぞ」というわけではなく、同国ではいったん広まった後に修正を加えていくやり方をとっているのだ(5月17日付Straits Times,” GrabCar, Uber drivers may need vocational licence soon“)。
一方、日本の場合は、入り口の段階で大きな議論を呼んでいる。広まる前に慎重に議論しようというタイプであり、シンガポールとは対照的である。
本特集では、筆者の1ヶ月間のシンガポールでのシェアリングエコノミー生活のリアルな体験を報告する。その内容を踏まえて、日本のシェアリングエコノミーの現状と今後の方向性についても議論したい。
また、本特集ではシンガポールだけでなく、香港、マレーシア、ベトナム、タイでのシェアリング利用体験についても比較しながら触れていく。
筆者のスマートフォンにはシェアリング系のアプリアイコンが並ぶ。
(バナー写真:アフロ)
*続きは明日掲載します。