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超高層ビル3棟を新設

動画で見る「2022年の虎ノ門ヒルズ」

2016/4/14

六本木ヒルズとの違い

2020年の東京オリンピックに向け、東京の各地で大型の再開発が相次いでいる。そのひとつが虎ノ門エリアだ。

4月13日、森ビルが会見を開き、虎ノ門エリアの再開発プランの概要を説明した。事業費4000億円を投じるプロジェクトの目玉は、2014年に開業した虎ノ門ヒルズを囲むように新設される3つの超高層ビルと、地下鉄日比谷線の新駅だ。

六本木ヒルズのコンセプトが「文化都心」であったのに対し、虎ノ門ヒルズエリアが目指すのは「国際新都心」だ。

森ビルの辻慎吾社長は「このエリアを選んでもらうために、世界の都市との競争に勝たないといけない」と語り、そのための条件として「海外から来たグローバルプレイヤーがきちんと住めること」を挙げた。

六本木ヒルズが、10ヘクタールを一度に開発したのに対し、虎ノ門ヒルズエリアは3棟の超高層ビルを、同時並行で開発していく形になる。これらのプロジェクトは、国家戦略特区の予定事業に指定されており、急ピッチで開発が進められる。
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今回、新設されるビルは以下の3つだ。

1) 「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(2019年度竣工予定)

36階建てで、約94000平方メートルの大規模オフィスと、約6300平方メートルの商業施設を持つ。1階には、都心と臨海を結ぶBRT(バス高速輸送システム)や、空港リムジンバスも発着できるバスターミナルを設置する。

虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの低層部分。「東京の玄関口」を目指す

虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの低層部分。「東京の玄関口」を目指す

4階には大企業とベンチャーの交流拠点として、イノベーションセンターを開設

4階には大企業とベンチャーの交流拠点として、イノベーションセンターを開設

2) 「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(2019年度竣工予定)

56階建て。約600戸のレジデンスを供給。森ビルの高級住宅ブランド「MORI LIVING」シリーズの最高峰となる住宅を提供する。

住宅等の低層部。近隣には、保育所、インターナショナルスクールなども整える

住宅等の低層部。近隣には、保育所、インターナショナルスクールなども整える

3) 「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(2022年度竣工目標)

東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅と一体的に開発する、ステーションビル。オフィスとホテルなどを複合させたタワーに。日比谷線の新駅は、56年ぶりとなる。

日比谷線の新駅と直結した、駅前の広場のイメージ

日比谷線の新駅と直結した、駅前の広場のイメージ

最上部には、大企業とベンチャー企業などが集う交流施設を設置

最上部には、大企業とベンチャー企業などが集う交流施設を設置

世界4位から飛躍なるか

虎ノ門は、もともと、森ビルの創業の地だ。今回、虎ノ門9森ビル、10森ビル、11森ビルが、それぞれレジデンシャルタワー、ビジネスタワー、ステーションビルへと生まれ変わることになる。

今後、虎ノ門では再開発が進み、オフィス供給量は2025年までに22.7万坪にまで拡大する見込み。これは2015年時点の7万坪の3倍以上となる数字だ。この供給量のうち、実に50%を森ビルの物件が占める。

今回のプロジェクトは、森ビルにとってはもちろん、東京にとっても大きな勝負となる。

森記念財団の世界都市ランキングによると、東京の順位は、ロンドン、パリ、ニューヨークに続く4位。5位にはシンガポール、6位にはソウルが続いており、アジアの盟主の座は安泰ではない。

東京の強みは、圧倒的な経済規模だが、一方で、空港からのアクセス、居住、環境などに弱みがある。

「東京の弱い部分を強めて、強い部分をそのまま強めていけば、さらに順位が上がっていく。今後は、住宅、ホテルなどいろんな機能がコンパクトに集中している都市が選ばれるのではないか」(辻社長)。
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港区は東京の中でもとくに国際性が高く、約1.9万人の外国人居住者が暮らす。ホテルも都心でもっとも多く、公園面積が広く、ミシュランの星獲得店舗数はパリに匹敵する。この港区が世界のタレントを集める「グロバールビジネスセンター」になるために、虎ノ門ヒルズの成功は欠かせない。

「東京オリンピックまで日本はチャンスだと思う。そのチャンスを掴み取る。これから4,5年が日本の勝負」と語る辻社長。虎ノ門、渋谷、丸の内などの再開発により、2020年までに東京は大きく生まれ変わりそうだ。