近藤理論を放置してはいけない
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私はこの分野は不案内だからわからないけど、ただ、近藤理論ってある意味、力強い。不安の最中にある人は命令してもらいたいから。「切っても治らないから切らない方がいい」と断言されれば、そう行動しがち。
一方で、真の科学者は、すべてはあらゆる可能性の中から決断する意思決定がもたらす作用と反作用の連鎖の中にあると考えており、さまざまな可能性がもたらす意思決定の樹形図を元に対話により、適切な回答を得ようとする。この勝俣先生もそのタイプだし、訓練された専門家と言うのはそのようなものだ。私も分野が違うが同じタイプ。
でも、多くは自分で考えることが苦手だし、意思決定を人にゆだねたい人が多い。投資でもそうなんですよね。
そういうタイプの人にはいわゆるスタンダードの専門家の声は届きにくい。だから、声の大きくて断定的な人に注目が集まりやすい。どうしたらいいのかなあ。少し長いです。すみません。なるべく多角的な視点でコメントします。
専門分野が異なれば意見が違うのは当たり前です。なぜなら医療は、細分化されていて自分の専門分野しかわからないからです。
近藤先生は放射線科医です。放射線科医は、癌を完全に治す、もしくは休眠させることを目指します。しかし実際は手術ができないほど悪化した癌患者をみることが多い(癌治療は手術が第一選択になるため)。そのため、治療を患者に選ばせるという現在の考えに至ったと私は推測します。
一方、腫瘍内科医は、エビデンスに基づきあらゆる化学療法で生きる期間を数ヶ月でも延ばそうとします。腫瘍内科医から見れば、数ヶ月寿命が延びれば、治療は成功と考えます。新しい治療法が見つかるかもしれないという希望があるからです。
われわれ外科医からすれば、癌は早期発見し、手術でとれば根治可能です。そのため、転移が起こる前に見つけたい。手術をして完全に治したいと考えます。
このように意見が異なるからこそ、その意見を集約しようとする取り組みがキャンサーボードです。がん治療に携わる医師が集まってがん治療の方針を決める会議です。
また、歯科医師、薬剤師、看護師、作業療法士、理学療法士、栄養士、歯科衛生士などさまざま職種が、それぞれの見地から患者さんにとって何ができるかを考えチーム医療をおこなっています。
以上から、専門分野が異なれば、意見も異なります。
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ちなみに、がん治療は標準治療が最も効果的な治療です。最先端治療は効くかどうかわかりません。
語弊があるかもしれませんが、飲食店と似ています。
新しい話題の店より、昔からの店にはそれなりの理由があります。
個人的な見解です。認識の違いがあるかもしれません。ご了承ください。医療従事者でない方は、担当医に病名と病期(腫瘍の進み具合)を尋ね、ガイドラインを参照するとよいと思います。
ガイドラインは日本語で各種のがんについて出版されています。
インターネットでフリーアクセスのものは古い版の場合があるので、最新のものを参照すべきです。
アマゾンで買えます。
読むと、病期によってベルトコンベヤー式に治療方針が決まります。
これが標準治療であり、これを実行するのがエビデンスに基づいた治療ということになります。
言うまでもなく、適切に使用される抗癌剤は延命効果があり、QOLを向上させる場合すらあります。
手術あるいは放射線治療と組み合わせて用いる抗癌剤(補助療法といいます)は治癒の可能性を高めます(腫瘍及び病期により)。
治癒とは腫瘍死を避けるということで、治癒が得られるかどうかは初回治療で何を選択するかでほぼ決まります。
治癒率を高めるための抗癌剤は、よほどの事情がない限りは是非受けるべきであることが多いです。
延命というと表現が悪いですが、2ヶ月しか生きられない方が6ヶ月、あるいは1年という時間を得ることは価値のあることである場合が多いです。
他方で確かに副作用も出るので、副作用の程度と抗癌剤治療を受けることでどの程度の利益が得られるかを担当医に訊いた上で選択するのがよいと思います。