なぜ私はネットが嫌いなのか

2016/4/12

出版業の凋落と本の可能性

佐々木 これからの出版ビジネスについても質問したいのですが、著書『たった一人の熱狂』で印象的だったのが、「2020年までに、幻冬舎の出版部門の利益はゼロになるとさえ予測している」という箇所です。
その一方で、「今でも、出版はすごい力を持ったメディアだと確信している」とも記していました。
見城 実際は4年後に利益がまったくなくなるとは思っていないけれど、現実として書店がどんどん潰れ、出版取次(出版社と書店の間をつなぐ流通業者)の年商もどんどん減っている。
一番売り上げが落ちているのは雑誌で、書籍も含めてこの25年間、市場はシュリンクし続けてきているわけだから、ひどい凋落ぶりです。
佐々木 確かにそうですね。
見城 僕らの時代だったら、恋に悩んだり人生の難問にぶつかったりしたときに、本を読んで救われたけれど、今はゲームで憂さを晴らしたり、SNSに投稿したり、動画を見て癒されたりする人もいる。本以外にもメディアがいっぱいあるわけです。
ところが、いくらコンテンツがたくさんあっても、最も自分自身が深く考えられるものは流れてくるものではなくて、自らが欲してその世界に入ろうとするもの。そういう思考が深まるメディアは、今も本だと思っているわけです。
佐々木 私もそう思っています。

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