[東京 30日 ロイター] - 一部の国内信託銀行が4月半ばから、金銭信託にマイナス金利を適用することがわかった。複数の関係筋がロイターに明らかにした。金銭信託は、資産運用会社や年金基金などが短期資金を運用するために使用しているが、日銀のマイナス金利導入によるコスト増分が転嫁される。

複数の資産運用会社関係者によると、三井住友信託銀行がマイナス0.1%の範囲内で手数料を徴収する一方、三菱UFJ信託銀行は、現在はゼロ%の利回りを運用実勢に応じた配当利回りにすることを顧客など関係者に通知した。

三井住友信託銀によると、「4月18日からの適用について、顧客へ丁寧に説明をしているところだが、日銀の当座預金でマイナス金利が適用される現金の部分について、預かっている信託財産から引き落とすことになる」(広報室)という。

また、みずほ信託銀行も「投資信託(の委託会社)については、マイナス金利相当分の費用を請求する方針。年金運用の顧客については、マイナス金利相当分の費用負担を含めて、現在検討を進めている」(広報)としている。

日銀がマイナス金利を導入するまでは、投資家が余裕資金を主にコール市場で運用していた。

だが、コール金利がマイナスになったことで、金利がゼロ%だった金銭信託に資金をシフトさせていた。

今後、金銭信託にもマイナス金利が適用されることになり、資産運用会社からは「短期資金を置いておける場所がない」(国内資産運用会社ファンドマネージャー)との声が出ている。

金銭信託とコール市場の利回りを比較し、コールのマイナス幅が小さければ、再びコールにシフトする可能性もある。

一部のファンドでは余資をすべて運用する必要があり、現金を保有することが想定されていない。

また、運用会社としては投資家に対し、マイナス金利で運用することの正当性を説明する責任が発生する。

市場では「年金基金などは、投信などより大きな規模の短期資金を保有しているため、影響が大きい」(米系運用会社幹部)との指摘もある。

*三井住友信託銀の手数料にかかる表現と見出しを修正しました。

(佐野日出之 浦中大我 伊賀大記 編集:田巻一彦)