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ビジネスエリートたちのお金の使い方には法則がある。それは、お金を使って、使った額以上にお金を増やすということ。そのためのルールは5つあり、「時間を買う」「ノウハウを買う」「人脈を買う」「希少性を買う」「お金を生む資産を買う」だ。黒木陽斗氏の最新著書『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する使っても減らない5つのお金のルール』から一部を抜粋・要約し、数回にわたってお届けする最終回。

会社オーナーより不動産オーナー

私は30代にして外資系企業の事業本部長クラスに出世し、そのあと日本代表、すなわちカントリーマネジャーのポジションを得ました。人がうらやむようなポジションだったかもしれませんが、いいことばかりではなく、私は悩んでいました。

例えば、お金の悩みです。税金や社会保険等で給与の半分以上が消えていくという現実を目の当たりにしたのです。いくら働いても、お金持ちにはなれそうにありませんでした。

また、トップとはいっても所詮は「雇われ代表」でした。カントリーマネジャーですから、海外の本社の言うことを聞かなければなりません。せっかく出世したのに、実質的にはボスではありませんでした。

業務上のプレッシャーも非常にきつく、社員たちは皆お金をよく使い、派手な生活をしていました。でも、あまり幸せそうには見えなかったのは、お金を使うことでストレスを発散しているだけだったからでしょう。

そのストレスから、病気になってしまった社員も少なくありませんでした。そして会社は、一度出世ルートから外れた人間の面倒は見てくれませんでした。次のキャリアへのステップも見えません。

外資系企業の社員たちは、長くても1社あたり1〜3年程度しか在籍しません。転職を繰り返して収入アップを目指していくのが普通で、プロパー入社で定年まで勤め上げるケースはまずないのです。

日本支社でトップに立っても、上には上がいる。ならばどうしようか。そう考えたとき、すぐに思いついたのは、「雇われのままではダメだ」「やはり会社オーナーにならなくては」ということです。

ですから、初めは自分で会社を起こすという選択肢も考えました。しかし、不動産の魅力を知って、不動産のオーナーになることと会社オーナーになることとの差があまりないことに気がつき、私は不動産投資を始めることにしたのです。

結果は、大成功でした。

不動産を購入することで、オーナー経営者になり、実質的にボスになりました。もう私の上には誰もいないのです。

サラリーマンとしては会社に収入が入って、そこから給与として私の財布にお金が入ってきましたが、不動産オーナーとしては、まず自分のところにお金が入ってくるようになったのです。

わかりやすい例を挙げると、たとえ会社で100億円の売り上げを達成しても、会社員の年収がその1%の1億円になることさえ、なかなかありません。しかし、月6万円のワンルームを所有すれば、理論上、その月から6万円がポケットに入ってくる、ということです。

このとき、お金を生む資産を持つことの素晴らしさを実感しました。

なぜ不動産投資だったのか

私の実体験に即して、もう一度不動産投資のメリットを整理してみます。「会社員としての給与以外の収入を得て、経済的な自由を手に入れたい」そう考える多くの人は、最初の選択肢として株式投資やFX投資を思いつきます。

その選択が間違っているとは思いませんし、実際に成功している人もいます。株式投資と不動産投資の最大の違いは、購入する不動産が融資の担保になるということです。

もちろん、有担保だからといって「絶対に破綻しない」とはいえないのですが、何かあっても担保の不動産を売却するか差し出せば、他の事業に比べて破綻しにくいと思います。

サラリーマンとしての仕事と並行させやすいことも、魅力的でした。不動産投資は収益不動産を買った瞬間から1つの事業オーナーになるようなものですが、だからといって急に忙しくなることはありません。

投資にまつわる実務を仲介会社や管理会社や税理士など、外部のプロフェッショナルに委託するシステムが充実しているためです。つまり「時間とノウハウを買う」ことができるのです。だから初めての投資でも参入しやすいのです。

一般的に、サラリーマンと自分の事業の2つを両立させるのは、非常に難しい。会社に勤めながらラーメン屋さんを開くのは無理だと誰にでもわかります。しかし、もし両立できるのなら、複数の収入を確保することによって経済的に安定することも明らかです。

不動産投資なら、それが可能です。委託システムが充実しているということは、サラリーマンの仕事に支障をきたすことなく経営することが可能であり、いずれ独立する場合を考えても非常にありがたい。

なぜなら、賃料収入を主体とした専業で独立するときに人を雇用しなくてすむからです。人を雇った瞬間、マネジメントや社会保険等、ケアしなければならないことが一気に増えてしまい、ビジネス以外の負担が増えます。

しかし、委託ならば、そんな悩みとは無縁でいられます。事務所も要りませんし、雇用保険も要りません。これは、起業してすぐの、軌道に乗る前のビジネスにとっては、とても好都合です。

事業を行う上でのお金の流れを比較しても、不動産投資は有利な点が多いといえます。一般的な事業では、製品やサービスを納めてから、お金が入金されるのは翌々月末払いなどということが普通です。

それに対して不動産事業は「家賃先払い」。先に報酬がもらえるという珍しい事業です。当然、資金繰りは安定します。 また、不動産事業は原則「成功報酬」です。

不動産を買う場合にしても、仲介業者に調査してもらい、成約時に初めて仲介業者にお金を払う。買わない限りは、原則、持ち出しが生じないというわけです。物件に空室があると募集広告を打ちますが、これも原則、支払いは成約後です。部屋が埋まれば仲介手数料を払う、埋まらなかったら払わずにすんでしまうのです。

有名企業勤務なのに不動産投資が必要?

私が講師をしている不動産投資セミナーの参加者のなかにも、会社員として働きながら不動産投資を始めようという人がいます。なかには金銭的には恵まれているであろう、一部上場企業の社員や公務員もいらっしゃいます。

これは、時勢の変化を感じるところです。10〜15年前ならそのような人たちは、不動産投資のセミナーには来ていなかったと思います。一部上場企業に勤務している人が、何億円も借金して不動産投資を始めるなんて、一般的にはちょっと信じがたい話でした。

かつては会社員として金銭的に報われていれば、わざわざ不動産投資を始めて、余計なローンを抱える必要はなかったはず。そんなことより、仕事に集中しているほうが出世して安定した収入が手に入るのに、という考えが主流でした。

しかし、いよいよ「会社には頼れない」時代になったということなのでしょう。参加者に直接理由を聞いてみれば、「将来が不安だ」「お金が増えない」「年金をもらえそうにない」「自力でお金を増やすしかない」といった悲観的な声ばかり。

会社員として組織につくせば、会社が老後の面倒まで見てくれたはずが、どこかの時点でその約束が変わってしまったのです。

時代が変化し、その変化に順応するために進化しなければ生き残れない時代になったといえるのではないでしょうか? 今までは縁遠かったビジネスエリートのように、お金を生む資産を購入しなければ定年時の生活が悲惨になると、多くの日本人が気づきはじめたのです。

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(写真:Highwaystarz-Photography/iStock)