優先株のリスク? アメリカの資金調達・IPOに見る5つのトレンド
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アメリカのスタートアップの事例をベースに優先株について説明されていますが、日本でもスタートアップが優先株式を発行して資金を調達することが増えています。起業を志す方は確実に押さえておくべき内容でしょう。
起業家は事業に精通していても(そうでないと困る)、シリアルアントレプレナーでもない限り、ベンチャーファイナンスについての知識は欠けがちなもの。毎週投資委員会を開いているようなVCとは強烈な情報の非対称性があります。下手をするとその情報格差によって痛い目を見ることもあるでしょう。
例えば、「参加型 残余財産優先分配権 3倍」+「見なし清算」という条項が呪文に見えてしまい、M&Aによるイグジット時における意味が分からないという起業家は、今すぐ磯崎先生の『起業のファイナンス』を通読すべきです。正直、自分たちの時は優先株式の諸条項の意味なんて全くわかっていませんでした。
逆にVCの方にとっても、後から起業家に「こんな契約を結んだ覚えはない!」なんて泣き叫ばれるのは迷惑な話です。
こうした知識面の不足を補うのも、エンジェルの1つの役割でしょう。自分が関わる方についてはこの辺りのことを、口を酸っぱくして注意したいと思います。資金調達を考えているスタートアップ必読ですね。優先株はスタートアップにとっても希薄化を抑えながら資金調達ができるため、とても有効な手法です。一方で、シンプルな普通株に比べてファイナンス知識と業界の相場観を持ち合わせていないと、どうしてもスタートアップ側より百戦錬磨のVCの方が交渉が有利になりやすい構造にあります。そのため、まずは普通株で出来る限り交渉する。そこで、ある程度のバリエーションの目線を合意できたら、優先株にした場合に、普通株に比べてバリエーションがいくら上乗せされるのか、その上乗せ分と引き換えにどのオプションを飲むのか、と議論を分けてできると理想的です。オプションは本当に後で命取りになる事があるので、オプションと引き換えに手に入れたバリエーションがどの程度あるのかをしっかり、理解して意思決定する事が大切だと思います。自戒も込めて。