石破大臣が危惧する、シェアリング事業者の「モラルハザード」

2016/3/23
最終回では、地方創生担当・国家戦略特区担当大臣の石破茂氏へのインタビューを敢行。本特集で各事業者が提示した論点を踏まえ、国家として「進むべき方向」が語られる。

大田区は「まずは6泊から」

──シェアリングエコノミーは「規制改革会議」と「国家戦略特区諮問会議」の両方で議論が進んでいます。議論が重なる部分があると思いますが、両者のすみ分けはどのようになっているのでしょうか。特にライドシェアと民泊について、それぞれ現況をお聞かせください。
石破 規制改革会議は、全国のルールを検討する会議です。一方、特区諮問会議は特定地域に限定した規制改革を議論します。目指すものは一緒ですが、担当する範囲が違います。
民泊についていえば、国家戦略特区法が施行された2014年4月から、旅館業法の適用除外というかたちで特例措置が実施されることになりました。それに対して大田区が手を挙げ、2016年1月から解禁されたのです。同時に、全国から「もっとやりたい」という話があり、規制改革会議でも検討されることになりました。
現在は大田区の結果を検証したうえで、もしうまくいけば全国に広め、問題が生じれば再度検討していく、という段階です。
自家用車の活用についても、あちこちの自治体から「やりたい」という話が来ています。2016年3月2日の特区諮問会議で、戦略特区において自家用車の活用拡大を追加の規制改革事項としてまとめ、今国会で特区法改正案として提出しました。
もちろん「なんでもいいからやってみよう」ではなく、大田区の場合も、近隣住民の説明や火災報知器の設置など、きちんと規制に適合したかたちを求めます。安全を確保する取り組みをしたうえで、やってみようということです。
──大田区における民泊は、「滞在期間が6泊7日以上であること」という認定要件があります。外国人観光客には利用が難しいという指摘もありますが。