性的マイノリティを描いた『リリーのすべて』をどう観るか
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もし「性同一性障害」という概念がなかった時代に私が生きていた場合、「精神的な病気」とみなしてしまったかもしれないと思うとゾッとします。
ですので、翻って現時点でのあらゆる「診断」も「過去よりは相対的にマシな仮説」という謙虚さを持っていたいと思いますし、現在では演技性人格障害という診断が与えられるであろうショーンKさんのような方も数十年後には違った捉えられ方もしているかもしれない。
そんなことを考えながらこの映画をみていました。性同一障害までいかなくても、本来の自分らしさを抑えて、リミッターを嵌めて生きている部分は誰にでもある。
実話を基にしながらも、そのプロセスを生々しく描くのではなく、敢えて美しい物語に描き変えたのは、トランスジェンダーというテーマそのものではなく、もっと普遍的なテーマを描きたかったのかな、と感じながら観ていました。
観る人の人生のコンディションによっても、感じるものが違う映画かもしれませんね。エディ・レッドメインと、妻ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルの演技が光る本作。
エディ・レッドメインはこの撮影に入る前、SFアクション映画『ジュピター』の現場にいたため、監督のウォシャウスキー姉妹からトランスジェンダーの歴史を学んだそうです。(両監督とも性転換手術経験者)