【猪瀬直樹】「テレビとネットの融合」は130年前に予期されていた

2016/3/20
テレビの未来を考えるには、「テレビとは何か」を歴史から考える必要がある。著書『欲望のメディア』でテレビの歴史を描くとともに、作家、都知事の立場からテレビと触れてきた猪瀬直樹氏に、テレビの過去・今・未来を、日本のメディアとメディア人の課題とあわせて聞いた(全3回)。  
1946年長野県生まれ。1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人等の廃止・民営化に取り組み、2002年、小泉純一郎首相より道路公団民営化委員に任命される。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授などを歴任。2007年東京都副知事。2012年から13年、東京都知事。2015年より日本文明研究所所長、大阪府市特別顧問。主著に『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』、近著に『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』『救出: 3・11気仙沼 公民館に取り残された446人』『戦争・天皇・国家 近代化150年を問いなおす』(田原総一朗氏との共著)などがある。最新刊に『正義について考えよう』(東浩紀との共著)と『民警』(扶桑社)がある。

テレビは滅びない

──『欲望のメディア』を拝読して、テレビというのは、昭和の象徴であり、戦後日本の象徴みたいなところがあるとあらためて感じました。皆が一方通行で同じものを同時に見るというところが特に。テレビ中心の時代が終わったときに、本当に昭和が終わるというか、日本が新しい時代に突入するような気がしているのですが、どうでしょうか。
猪瀬 テレビがマスであることには変わりはない。テレビに出演すると、「あ、見ましたよ」という反応がやっぱりあるよね。だけどネットはそうではない。
だから全体的にテレビの視聴率は落ちているけれども、落ちていても、やっぱりマス。だから、テレビが滅びるとは思わない。